2018年(平成30年)度のセンター試験過去問、数学ⅡB第3問(数列)の解答と解説です。
等差数列、等比数列から階差数列までありますが、基本的なことが多く誘導に乗ればたいして難しくは感じなかったでしょう。
例年通り、式を見やすく並べておくというのはセンターでは基本中の基本です。

問題は大学入試センターにもあります。

⇒ 平成30年度2018センター試験数学ⅡBの問題

第3問(選択)数列

第3問から第5問の3問の中から2問選択となりますが、統計的推測は学校でもやらないことが多いので第3問と第4問選択となります。
その第3問数列です。

第4項が30,初項から第8項までの和が288である等差数列を \(\{a_n\}\) とし,
 \(\{a_n\}\) の初項から第 \(n\) 項までの和を \( S_n\) とする。
また,第2項が36、初項から第3項までの和が156である等比数列で公比が1より大きいものを \(\{b_n\}\) とし,
 \(\{b_n\}\) の初項から第 \( n\) 項までの和を \( T_n\) とする。

センター試験の数列をわかりづらくしている原因はあとで説明します。

(1)等差数列

先ずは等差数列、等比数列ですが、この2つは問題に関係なくやっておくことがあります。

 「初項と公差」、「初項と公比

これは問題に与えられることもありますが、自分でもまず最初に求めておくことです。

本番ではこれを先にやりますが、この問題では誘導があるので誘導に沿って進めます。

(1)等差数列についてです。

等差数列 \( \{a_n\}\) において、初項:\( a\) 公差:\( d\) とおくと
第4項が30であることから

 \( a+3d=30\) ・・・①

初項から第8項までの和が288であることから

 \(\displaystyle (a+7d)\times \frac{8}{2}=288\) ・・・②

この②は
 \( a+7d=72\)
と係数を小さくしておくと計算が楽です。

①②から

 \( a=-6\,,\,d=12\)

これが誘導にあります。
 \(\{a_n\}\) の初項は \(\fbox{-6}\) ,公差は \(\fbox{12}\)
これより一般項は

 \( a_n=-16+12(n-1)=12n-18\)

またこの等差数列の和 \(S_n\) は

 \( S_n=(-6+12n-18)\times \displaystyle \frac{n}{2}\\ \\
=(-24+12n)\displaystyle \frac{n}{2}\\ \\
=\fbox{6}n^2-\fbox{12}n\)

 アイ:-6  ウエ:12  オ:6 カキ:12

等差数列の和は公式

 \( S_n=\displaystyle \frac{n}{2}\{2a+(n-1)d\}\)

でも良いし、初項 \( a\) 末項 \( l\) として

 \( S_n=\displaystyle \frac{n}{2}(a+l)\)

でもどちらでも良いです。
上の \( S_n\) 計算は後の計算式を使っています。

(2)等比数列

等比数列でも初項と公比は何も考えず求めておきましょう。

等比数列 \( \{b_n\}\) において、初項:\( b\) 公比:\( r\) とおくと
第2項が36であることから

 \( br=36\) ・・・③

初項から第3項までの和が156であることから

 \(b+br+br^2=156\) ・・・④

連立方程式なので一文字消去すれば求まりますが、
処理方法はいくつか考えられます。

④の \( b+br+br^2=156\) を
 \(b(1+r+r^2)=156\) ・・・④’

 \( br+br^2+br^3=156r\) ・・・④”
とすることで計算を楽にすることもできますが、すぐに思いつきそうな、④’を③で辺々割ることにしましょう。

 \( \displaystyle \frac{b(1+r+r^2)}{br}=\displaystyle \frac{156}{36}\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{5pt} \displaystyle \frac{1+r+r^2}{r}=\displaystyle \frac{13}{3}\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{5pt} 3(1+r+r^2)=13r\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{5pt} 3r^2-10r+3=0\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{5pt} (r-3)(3r-1)=0\)

問題に「公比は1より大きい」とあるので

 \( r=3\)

このとき①より \(b=12\) となるので
等比数列 \( \{b_n\}\) の初項は \( \fbox{12}\) , 公比は \( \fbox{3}\)

またこの等比数列の和 \(T_n\) は

 \( T_n=\displaystyle \frac{12(3^n-1)}{3-1}\\ \\
=\fbox{6}\,(\,\fbox{3}^{\,n}-\fbox{1})\)

 クケ:12  コ:3  サ:6 シ:3 ス:1

ここでの主題にはならないのですが、
③④の連立では③から

 \( b=\displaystyle \frac{36}{r}\)

として④に代入すると

 \( \displaystyle \frac{36}{r}+36+36r=156\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{5pt}36+36r+36r^2=156r\\ \\
\Leftrightarrow 36r^2-120r+36=0\\ \\
\Leftrightarrow 3r^2-10r+3=0\)

とすることもできます。
 
さて、
「等差数列の和」が

 \(\color{red}{S_n}=6n^2-12n\)

「等比数列の和」が

 \( \color{blue}{T_n}=6(3^n-1)\)

です。

センター試験では等差数列や等比数列、後々出てくる数列の和などが入り乱れるのでよく混乱します。
いつもなら数列 \( \{a_n\}\) や \( S_n\) とだけ表せばいいところが、
 \(\{b_n\}\) や \( T_n\) なども区別するために、数列ごとに出てくるのでわからなくなるのです。

そのため、何がどのような数列なのか、はっきり区別できるようにしておくことがポイントになります。

数列攻略のポイント

(3)
また出てきました。第3の数列 \( \{c_n\}\) です。
たぶん、

 \( \displaystyle c_n=\sum_{k=1}^{k}(n-k+1)(a_k-b_k)\\ \\
=n(a_1-b_1)+(n-1)(a_2-b_2)+\cdots +2(a_{n-1}-b_{n-1})+(a_n-b_n)\)

をみてもさっぱりわからないと思うし、この式から考えた人は撃沈したと思います。

こんなときは誘導にのります。
そもそも、「一般項を求めよう」と目的を示してくれていて、
書いていないけど「これから誘導しますよ。」といってくれているのに、
自力で一般項を求める必要はありません

 \( \{c_n\}\) の階差数列を \( \{d_n\}\) とする。
からはじめればよかったんですよね。

 \( d_n=c_{n+1}-c_n\)

で、\( C_{n+1}\) と \( c_n\) って?となるのが普通でしょ。

 \( c_{n+1}=(n+1)(a_1-b_1)+\hspace{28pt}n(a_2-b_2)+\cdots +2(a_n-b_n)+(a_{n+1}-b_{n+1})\)
  \( c_n=\hspace{30pt}n(a_1-b_1)+(n-1)(a_2-b_2)+\cdots +\hspace{4pt}(a_n-b_n)\)

これらから \( d_n\) は

 \( d_n=c_{n+1}-c_n\\ \\
=(a_1-b_1)+(a_2-b_2)+\cdots +(a_n-b_n)+(a_{n+1}-b_{n+1})\\ \\
=(\underline{a_1+a_2+\cdots +a_n+a_{n+1}})-(\underline{\underline{b_1+b_2+\cdots +b_n+b_{n+1}}})\\ \\
=\hspace{30pt}\underline{S_{n+1}}\hspace{30pt}-\hspace{30pt}\underline{\underline{T_{n+1}}}\)

 セ:5

ここは添え字を換えて、機械的に計算しただけです。
数列とは何も関係のない等式処理ですよ。

ここから数列に戻ります。

したがって,(1)と(2)により

(1)と(2)とは、

 \( S_n=6n^2-12n\)
 \( T_n=6(3^n-1)\)

のことです。

 \( d_n=S_{n+1}-T_{n+1}\)

なので \(n\) の代わりに \( n+1\) を入れて

 \( S_{n+1}=6(n+1)^2-12(n+1)\\ \\
=6(n+1)(n+1-2)\\ \\
=6(n+1)(n-1)=6(n^2-1)\\ \\
=\underline{6n^2-6}\)

 \( T_{n+1}=6(3^{n+1}-1)\\ \\
=\underline{\underline{6\cdot 3^{n+1}-6}}\)

から

 \( d_n=\underline{S_{n+1}}-\underline{\underline{T_{n+1}}}\\ \\
=(6n^2-6)-(6\cdot 3^{n+1}-6)\\ \\
=6n^2-6-6\cdot 3^{n+1}+6\\ \\
=6n^2-6\cdot 3^{n+1}\)

問題の解答欄に合わせて、指数を合わせると

 \( d_n=6n^2-6\cdot 3^{n+1}\\ \\
=6n^2-2\cdot 3\cdot 3^{n+1}\\ \\
=\fbox{6}\,n^2-2\cdot \fbox{3}^{\,n+\fbox{2}}\)

 ソ:6 タ:3 チ:2

やっと \( \{C_n\}\) に取りかかれます。
これは \( \{d_n\}\) が階差数列なので

 \( \displaystyle c_n=c_1+\sum_{k=1}^{n-1}d_k\)

厳しい言葉かもしれませんが、この階差数列の意味がわからないという人は、センター試験で満足のいく得点を狙うには基礎が足りていないというしかない。
ここだけ抜けている、とも考えにくいので平均点すら取れない可能性は大きいです。

 \( a_1\) は等差数列の初項、\( b_1\) は等比数列の初項なので

 \( c_1=a_1-b_1=-6-12=\fbox{-18}\)

よって

 \( \displaystyle c_n=-18+\sum_{k=1}^{n-1}\left(6k^2-2\cdot 3^{k+2}\right)\)

これは和が2つ混じっていますので分けて計算しなくてはなりません。

忘れてはいけないのは、シグマの計算公式は

 \( \displaystyle \sum_{k=1}^{n}k=\displaystyle \frac{1}{2}n(n+1)\)
 \( \displaystyle \sum_{k=1}^{n}k^2=\displaystyle \frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)\)
 \( \displaystyle \sum_{k=1}^{n}k^3=\left\{\displaystyle \frac{1}{2}n(n+1)\right\}^2\)

この3つだけだということ。

 \( \displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}\left(6k^2-2\cdot 3^{k+2}\right) \\ \\
=6\sum_{k=1}^{n-1}k^2-2\sum_{k=1}^{n-1} 3^{k+2}\)

の前半部分はシグマの計算公式が使えます。
公式の \( n\) の代わりに \( (n-1)\) を入れて

 \( \displaystyle 6\sum_{k=1}^{n-1}k^2\\ \\
=6\cdot \displaystyle \frac{1}{6}(n-1)n\{2(n-1)+1\}\\ \\
=n(n-1)(2n-1)\\ \\
=(n^2-n)(2n-1)\\ \\
=2n^3-n^2-2n^2+n\\ \\
=2n^3-3n^2+n\)

後半部分の

 \( \displaystyle 2\sum_{k=1}^{n-1}3^{k+2}\)

計算公式は使えず、等比数列の和として計算します。
これはセンター試験だけでも過去に相当な回数出てきているのでなじみがあるでしょう。
そのままではなく等比数列の形して、和を計算するのがポイントです。

 \( a_n=a\cdot r^{n-1}\hspace{10pt}\Rightarrow \hspace{10pt}S_n=\displaystyle \frac{a(r^n-1)}{r-1}\)

また

 \( 3^{\color{red}{k+2}}=3^\color{red}{3}\cdot 3^{\color{red}{k-1}}\)

と見ることができて
 初項 \( 3^3\) 公比 \( 3\) の等比数列の初項から \( k-1\) 項までの和
とみることができるので

 \( \displaystyle 2\sum_{k=1}^{n-1}3^{k+2}\\ \\
=2\cdot \displaystyle \frac{3^3(3^{n-1}-1)}{3-1}\\ \\
=2\cdot \displaystyle \frac{27(3^{n-1}-1)}{2}\\ \\
=27(3^{n-1}-1)\\ \\
=27\cdot 3^{n-1}-27\\ \\
=3^{n+2}-27\)

よって

 \( \displaystyle c_n=c_1+\sum_{k=1}^{n-1}d_k\\ \\
=-18+\sum_{k=1}^{n-1}\left(6k^2-2\cdot 3^{k+2}\right)\\ \\
==-18+6\sum_{k=1}^{n-1}k^2-2\sum_{k=1}^{n-1}3^{k+2}\\ \\
=-18+2n^3-3n^2+n-\left(3^{n+2}-27\right)\\ \\
=\fbox{2}n^3-\fbox{3}n^2+n+\fbox{9}-\fbox{3}^{\,n+\fbox{2}}\)

余計な計算書いてるから、余計ややこしく見えるけど、w
自分でまとめながら進めるとそれほどでもないですよ。

後はベクトルを残すのみ。
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⇒ 2018年度センター試験過去問数学ⅡB第4問(ベクトル)解答と解説

\(ⅡB\)の過去問まとめページです。

⇒ センター試験と共通テスト数学2Bの過去問解説

数学\(ⅡB\)の難点は、計算スペースなんでしょうかね。w