指数に未知数を含む指数方程式の解き方です。
いくつか例題をあげて説明しますので、指数法則の復習と方程式を立てるコツを見ておいてください。
ポイントは置き換えによる方程式の変形となりますが、指数の条件がついてきますので解を出すときに注意することがあります。

指数の置きかえがうまくできればたいして難しい項目ではありません。

指数方程式の解き方

例題を見てみましょう。

例題
次の方程式を解け。

(1) \( 2^{2x}-6\cdot2^x+8=0\)

(2) \( 9^{-x}=4\cdot3^{-x}+5\)

(3) \( 5^{3+x}+5^{2-x}=630\)

問題は数年前に質問されたものを取り上げました。
問題は何でも良いのですが、方針を1つにしておきましょう。

指数の計算でも対数の計算でも同じことをいっていますが、
底はそろえておく
ということです。
方程式にするときでもこの方針は変えなくて良いです。

置換することで解決する指数方程式の解き方

(1)

 \(\hspace{10pt} 2^{2x}-6\cdot2^x+8=0\)

係数ではなく指数部分を見ると底は2でそろっています。
また、\( 2^{2x}=(2^x)^2\) なので、

 \( 2^x=t\)

とくと、

 \( \color{red}{t>0}\) ・・・①

置換(置きかえ)したときは定義域を必ず見ておきましょう

この \( t\) を用いて方程式を表すと

 \(\hspace{10pt} 2^{2x}-6\cdot2^x+8=0\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} (2^x)^2-6\cdot 2^x+8=0\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} t^2-6t+8=0\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} (t-2)(t-4)=0\) 

という2次方程式になります。

これを \( t\) についてとくと

 \( t=2\,,\,4\)

これはどちらも①を満たしています。

 \( t=2\) のとき \(2^x=2\) だから \( x=1\)
 \( t=4\) のとき \(2^x=4=2^2\) だから \(x=2\)

どちらも答です。

 \(\hspace{10pt} \underline{x=1\,,\,2}\)

底をそろえて置換する指数方程式の問題と注意点

(2)

 \(\hspace{10pt} 9^{-x}=4\cdot 3^{-x}+5\)

これは底がそろっていません。

 \(9=3^2\) なので底を3にそろえるのがいいでしょう。

 \(\hspace{10pt} 9^{-x}=4\cdot 3^{-x}+5\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} (3^2)^{-x}=4\cdot 3^{-x}+5\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} 3^{-2x} = 4\cdot 3^{-x}+5\)

ここでちょっと考えてみましょう。

底を3にそろえることはできましたが、指数をどうするかです。

 \( 3^{-x}=t\) とするか \( 3^x=t\) とするか、どちらもやってみます。

ⅰ)
 
 \( 3^{-x}=t\) とすると \( \color{red}{t>0}\) で、

 \(\hspace{10pt} 9^{-x}=4\cdot 3^{-x}+5\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} 3^{-2x} = 4\cdot 3^{-x}+5\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} (3^{-x})^2=4\cdot 3^{-x}+5\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} t^2=4t+5\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} t^2-4t-5=0\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} (t+1)(t-5)=0\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} t=-1\,,\,5\)

ここで \( t>0\) なので \( t=-1\) は不適となります。

 \( t=5\) のとき \( 3^{-x} = 5\)

ここで3の累乗数で5になる数字って?と疑問を持ちますが、
対数でしかありません。

底を3として両辺の対数をとると

 \(\hspace{10pt} \log_{3} 3^{-x} = \log_{3}{5}\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} -x = \log_{3}5\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} x=\underline{-\log_{3}5}\)

どちらかというと、
個人的に指数にマイナスをつけたままの関数を考えるのも嫌なので、w
 
 \( 3^x=t\)

とした方が最初は少し手間だけどやりやすく感じます。

 \(\hspace{10pt} 9^{-x}=4\cdot 3^{-x}+5\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} 3^{-2x} = 4\cdot 3^{-x}+5\)

ここからの変形がまた2つあります。

 \(\hspace{10pt} 3^{-2x} = 4\cdot 3^{-x}+5\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} (3^x)^{-2} = 4 \cdot (3^{x})^{-1}+5\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} \displaystyle \frac{1}{(3^x)^{2}}=4\cdot \displaystyle \frac{1}{3^{x}} +5\)

 \( 3^x=t\) とおくと \( \color{red}{t>0}\) で、

 \(\hspace{10pt} \displaystyle \frac{1}{(3^x)^{2}}=4\cdot \displaystyle \frac{1}{3^{x}} +5\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} \displaystyle \frac{1}{t^2}=4\cdot \displaystyle \frac{1}{t}+5\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} 1=4t+5t^2\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} 5t^2+4t-1=0\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} (5t-1)(t+1)=0\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} t=\displaystyle \frac{1}{5}\,,\,-1\)
 
 \( t>0\) なので \(\color{orange}{ t=-1 は不適}\)。

 \( t=\displaystyle \frac{12}{5} \hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} 3^x=\displaystyle \frac{1}{5}\)

両辺の対数をとることで

 \(\hspace{10pt} \log_{3}3^x=\log_{3}\displaystyle \frac{1}{5}\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} x=\log_{3}5^{-1}=\underline{-\log_{3}5}\)

ですが、実際にはこんな回りくどいことはしません

 \(\hspace{10pt} 9^{-x} = 4\cdot 3^{-x} +5\)

を見た時点で分数になることがわかるので、
全体に \( 9^{x}=3^{2x}\) をかけて分数を無くします。

 \(\hspace{10pt} 9^{-x} = 4\cdot 3^{-x} +5\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} 9^{-x}\cdot 9^{x} = 4\cdot 3^{-x}\cdot 3^{2x} +5\cdot 3^{2x}\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} 1=4\cdot 3^x +5\cdot (3^x)^2\)

ここで \( 3^x=t\,>0\) とおくと

 \(\hspace{10pt} 5t^2+4t-1=0 \hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} t=\displaystyle \frac{1}{5}\,,\,-1\)

これから

 \( 3^x=\displaystyle \frac{1}{5} \hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} \underline{x=-\log_{3}5}\)

としてもなんの問題もありませんよ。

ここまでは普通に置換して、定義域を確認して解を求めるという普通の基本問題です。
次も底はそろっているので同じように進めてみましょう。

指数法則を利用して変形する問題の解き方

(3)

 \(\hspace{10pt} 5^{3+x}+5^{2-x}=630\)

 \(\hspace{10pt} 5^{3+x}+5^{2-x}=630\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} 5^3 \cdot 5^x+5^2 \cdot 5^{-x}=630\)

両辺に \(5^x\) をかけて

 \( 5^3 \cdot 5^x\cdot 5^x+5^2 \cdot 5^{-x} \cdot 5^x=630\cdot 5^x\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} 5^3\cdot(5^x)^2+5^2=630\cdot 5^x\)

 \( 5^x=\color{red}{t>0}\) とおくと

 \(\hspace{10pt} 5^3\cdot(5^x)^2+5^2=630\cdot 5^x\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} 5^3t^2-630t+5^2=0\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} 5^3t^2-5\cdot 126t+5^2=0\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} 5^2t^2-126t+5=0\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} 25t^2-126t+5=0\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} (25t-1)(t-5)=0\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} t=\displaystyle \frac{1}{25}\,,\,5\)

これはどちらも適しています。

 \(\hspace{10pt}\displaystyle t=\frac{1}{25}\) のとき

 \( 5^x=\displaystyle \frac{1}{25}=5^{-2}\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} x=-2\)

 \(\hspace{10pt} t=5\) のとき

 \( 5^x=5\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} x=1\)

よって

 \(\hspace{10pt} \underline{x=-2\,,\,1}\)

置換した後は単なる方程式を解いているだけだということを忘れないでください。

⇒ 指数の掛け算や割り算や分数の計算問題の解き方

指数の法則に従えば単なる方程式に変わります。

⇒ 指数関数と対数関数の要点

定義域の条件は変わりますけど、それさえ注意すれば指数と対数はばっちりです。