定積分の問題で、積分区間の上端や下端に定数の文字があるときの定数を求める問題の解き方です。
基本的な良く出る問題なので特別な解き方をする必要はありません。
積分変数と定数である文字の区別をしっかりしておけば単なる方程式になります。
これもいろいろな問題がありますが基本的なもので慣れておきましょう。

定積分で積分区間に文字がある問題

定積分の問題です。
定積分と面積は同じではありませんので、不定積分を区間付きで計算すれば良いだけです。

\(\color{red}{\fbox{ 定積分 }}\)
 \(\hspace{10pt}\displaystyle \int_a^t f(x)dx=F(t)-F(a)\)
(この場合\(\,x\,\)で積分するので\(\,a\,,\,t\,\)は定数です。)

解説を加えながら解いてみますので早速ですが問題に入りましょう。

例題

(1)等式

 \( \displaystyle \int _{0}^{a} x(3x-2)\,dx=4\)

をみたす実数 \( a\) の値を求めよ。

(2)等式

 \( \displaystyle \int _{-a}^{a} (2x^3+3x^2-7x+3)\,dx=28\)

をみたす定数 \( a\) の値を求めよ。

簡単にですが定積分の定義をもう一度確認しておきます。

 【定積分の定義】

 \( F(x)\) が区間 \( a≦ x ≦ b\) (または \( b≦ x ≦ a\))
で連続な関数 \( f(x)\) の不定積分のとき、

 \( \displaystyle \int_{a}^{b}f(x)dx=\left[F(x)\right]_{a}^{b}=F(b)-F(a)\)

のことを,\( f(x)\) の \( a\) から \( b\) までの定積分という。

ですが、連続?とか、
何故 \( F(b)-F(a)\) を定積分と呼ぶ?
などは考えなくて良いです。

単に不定積分を求め、
上端 \( b\) と下端 \( a\) を不定積分に代入して \( F(b)-F(a)\) を計算すれば良いだけです。
(上端,下端の大小は逆でも良いのです。)

⇒ 整関数の定積分の定義と定理

\(\,x\,\)で積分しているので\(\,a\,,\,b\,\)は定数です。

(1)
 \( \displaystyle \int _{0}^{a} x(3x-2)\,dx=4\)

右辺はひとまずおいといて、左辺を定積分しましょう。

 \(\hspace{10pt} \displaystyle \int _{0}^{a} x(3x-2)\,dx\\
\displaystyle =\int _{0}^{a} (3x^2-2x)\,dx\\
\displaystyle =\left[x^3-x^2\right]_0^{a}\\
=(a^3-a^2)-(0-0)\\
=a^3-a^2\)

または、(定積分の線型性を利用して)

 \(\hspace{10pt} \displaystyle \int _{0}^{a} x(3x-2)\,dx\\ \\
\displaystyle =\int _{0}^{a} (3x^2-2x)\,dx\\ \\
\displaystyle =\int _{0}^{a} 3x^2\,dx – \int _{0}^{a} 2x\,dx\\ \\
\displaystyle =\left[x^3\right]_0^{a}-\left[x^2\right]_0^{a}\\ \\
=a^3-a^2\)

と計算しても結果は同じです。

定積分したら方程式として文字を求める

左辺は \( a^3-a^2\) となりました。

これが右辺の「\(\,4\,\)」に等しいので、

 \( a^3-a^2=4\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} a^3-a^2-4=0\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} (a-2)(a^2+a+2)=0\)

 \( a^2+a+2=0\) は実数解を持たないので、
これを満たす実数は \( \underline{ a=2 }\) だけです。

定積分が楽になる定理

(2)
 \( \displaystyle \int _{-a}^{a} (2x^3+3x^2-7x+3)\,dx=28\)

定積分の計算を見たら「積分区間」に注目してください。
下端と上端の絶対値が同じときには計算を楽にしてくれる公式があります。

 \( f(x)\) が奇関数のとき
 \(\hspace{10pt} \displaystyle \color{red}{\int_{-a}^{a} f(x)dx=0}\) ・・・①

 \( f(x)\) が偶関数のとき
 \(\hspace{10pt} \displaystyle \color{red}{\int_{-a}^{a} f(x)dx=2\int_{0}^{a} f(x)dx}\) ・・・②

奇関数部分は計算しなくても①から「0」だと分かっているので無視できます。
この公式は覚えておきましょう。

⇒ 定積分の計算問題で使える公式

つまり、

 \(\hspace{10pt} \displaystyle \int _{-a}^{a} (2x^3+3x^2-7x+3)\,dx\\
=\int _{-a}^{a} 2x^3\,dx+\int _{-a}^{a} 3x^2\,dx – \int _{-a}^{a} 7x\,dx + \int _{-a}^{a} 3\,dx \)

と分けると、被積分関数が奇関数の部分は0で、
積分しなくていいし、さらに②より

 \(\hspace{10pt} \displaystyle \int _{-a}^{a} (2x^3+3x^2-7x+3)\,dx\\ \\
\displaystyle =\int _{-a}^{a} 3x^2\,dx + \int _{-a}^{a} 3\,dx \\ \\
\displaystyle =2\int _{0}^{a} 3x^2\,dx + 2\int _{0}^{a} 3\,dx \\ \\
=2\left[x^3\right]_0^a+2\left[3x\right]_0^a\\ \\
=2a^3+6a\)

これが右辺の「\(\,28\,\)」に等しいので
 
 \(\hspace{10pt} 2a^3+6a=28\\
\Leftrightarrow \hspace{5pt} 2a^3+6a-28=0\\
\Leftrightarrow \hspace{5pt} a^3+3a-14=0\\
\Leftrightarrow \hspace{5pt} (a-2)(a^2+2a+7)=0\)

 \( a^2+2a+7=0\,\)を満たす実数はないので\( \underline{ a=2 }\)

普通に定積分を行い、左辺と等しいとおくことで解決する問題です。

奇関数は原点対称で
 \(-a\,≦\,x\,≦\,0\,\)と\(\,0\,≦\,x\,≦\,a\,\)の積分値が打ち消し合って0になり、

偶感数は \(y\) 軸対称で
 \(-a\,≦\,x\,≦\,0\,\)と\(\,0\,≦\,x\,≦\,a\,\)の積分値が同じで2倍になる。

これらの定理は計算を楽にしてくれますので覚えておくと良いですね。

ある程度計算になれたら微積融合問題に進みましょう。
もともと微分と積分はセットですが、同時に基本が復習できますよ。

⇒ 定積分を関数と見るときの極値と定数を求める問題の解き方

積分区間に \(x\) があって定積分を関数とみなして処理する微分積分の簡単な融合問題です。
(積分を\(\,x\,\)ではない関数で積分した後xの関数と見直すということです。)
これができるようになれば微分積分の基礎はおおよそ理解できているということです。

⇒ 微分法と積分法の要点(数学Ⅱ)

微分と積分は記号が難しく見せていますが、厳密に理解する必要はありません。