漸化式を階差数列タイプに変形して解く方法です。
2項間なので特性方程式を解くことで求まる形ではありますが、階差数列の形にしても解けるということです。
漸化式のこの階差タイプへの変形は使う機会が非常に多いので先ずは階差を試しても良いくらいですよ。
2項間漸化式として普通に解く方法
\( a_1=5\,,\,a_{n+1}=3a_n-4\hspace{7pt} (n=1\,,\,2\,,\,3\,,\cdots)\)
で定められる数列 \( \{a_n\}\) の一般項を求めよ。
これは特性方程式
\( \color{red}{\alpha }=3\color{red}{\alpha}-4 \Leftrightarrow \color{red}{\alpha}=2\)
から \( a_{n+1}-\color{red}{2}=3(a_n-\color{red}{2})\) と変形できるので、
数列 \( \{a_n-2\}\) を公比3の等比数列とみて
\(\begin{eqnarray}
a_n\color{red}{-2}&=&(a_1-2)\cdot 3^{n-1}\\
&=&(5-2)3^{n-1}\\
&=&3^n
\end{eqnarray}\)
これから
\(\hspace{10pt} a_n=\underline{ 3^n\color{red}{+2} }\)
と求めることができました。
例題1も同じように変形できます。
数列 \(\{a_n\}\) は
\( a_1=1\hspace{7pt},\hspace{7pt}a_{n+1}=3a_n+2\hspace{7pt}(n=1\,,\,2\,,\,3\,,\cdots\,)\)
によって定められる。
数列 \( \{a_n\}\) の一般項を求めよ。
特性方程式から
\(\hspace{10pt}\color{red}{\alpha }=3\color{red}{\alpha}+2\\
\Leftrightarrow \color{red}{\alpha}=-1\)
またはダイレクトに
\(\hspace{10pt} a_{n+1}=3a_n+2\\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} a_{n+1}+1=3(a_n+1)\)
と「変形できるから」でも良いです。
数列 \( \{a_n+1\}\) は公比3の等比数列なので
\(\begin{eqnarray}
a_n\color{red}{+1}&=&(a_1+1)\cdot 3^{n-1}\\
&=&(1+1)\cdot 3^{n-1}\\
&=&2\cdot 3^{n-1}
\end{eqnarray}\)
よって
\(\hspace{10pt} a_n=\underline{ 2\cdot 3^{n-1}\color{red}{-1} }\)
このように普通に求めることもできますが、階差を使う方法を紹介しておきます。
最初は特殊に思うかもしれませんが、特性方程式と同じように普通に使ってやって見てください。
階差数列タイプに変形して漸化式を変形する方法
方法は簡単です。
\(\hspace{10pt} a_{n+1}=3a_n+2\)
と添え字を1つずらした
\(\hspace{10pt} a_n=3a_{n-1}+2\)
を並べて両辺の差を取ります。
\(a_{n+1}\,=3\,a_n\,+\,2\)
\( \underline{-) a_n\,=3\,a_{n-1}+2}\)
すると定数項がなくなって
\( a_{n+1}\, -\, a_n = 3\,(a_n\,-\,a_{n-1})\) ・・・①
ここはちょっとていねいに処理します。
\( \color{red}{b_n}=\color{red}{a_{n+1}-a_n}\) とおくと、
\( \color{blue}{b_{n-1}}=\color{blue}{a_n-a_{n-1}}\) となるので
①は、
\(\hspace{10pt} \color{red}{a_{n+1} – a_n} = 3(\color{blue}{a_n-a_{n-1}})\\ \\
\Leftrightarrow \color{red}{b_n}=3\cdot \color{blue}{b_{n-1}}\)
この数列 \(\{b_n\}\) は公比3の等比数列なので、
\(\begin{eqnarray}
b_n&=&b_1\cdot 3^{n-1}\\
&=&(a_2-a_1)\cdot 3^{n-1}
\end{eqnarray}\)
\(\,a_2\,\)をまだ出していませんでした。
\(\hspace{10pt} a_2=3a_1+2=5\)
これから
\(\begin{eqnarray}
b_n&=&(a_2-a_1)\cdot 3^{n-1}\\
&=&(5-1)\cdot 3^{n-1}\\
&=&4\cdot 3^{n-1}
\end{eqnarray}\)
ところで
\(\hspace{10pt} b_n=a_{n+1}-a_n\)
で表された数列\(\,\{b_n\,\}\)は数列\(\{\,a_n\,\}\)の階差数列です。
\( n\,≧\,2\,\)において
\(\begin{eqnarray} \displaystyle
a_n&=&a_1+\sum_{k=1}^{n-1} b_k\\
&=&a_1+\sum_{k=1}^{n-1} 4\cdot 3^{k-1}\\
&=&1+4\cdot \frac{3^{n-1}-1}{3-1}\\
&=&1+4\cdot \frac{3^{n-1}-1}{2}\\
&=&1+2(3^{n-1}-1)\\
&=&2\cdot 3^{n-1}-1
\end{eqnarray}\)
これは \( n=1\) のとき \( a_1=1\) で成り立たせるので、
\(\hspace{10pt} a_n=2\cdot 3^{n-1}-1\hspace{7pt}(\,n\,≧\,1\,)\)
階差数列をあつかうときは、
\(\begin{eqnarray}\displaystyle
a_n&=&a_1+(b_1+b_2+\cdots +b_{n-1})\\
&=&a_1+\sum_{k=1}^{n-1}\,b_k (\,\color{red}{n\,≧\,2}\,)
\end{eqnarray}\)
なので注意しておきましょう。
階差数列の公式が使えると何かと便利になりますよ。
ついでといっては何ですが、
この数列 \(\{a_n\}\) の和も求めておきましょうか。
ここは漸化式とはなく、シグマ計算の確認になるので飛ばしても良いですよ。
一般項から和を求めるシグマ計算
数列 \(\{a_n\}\) は
\(\hspace{10pt} a_n=2\cdot 3^{n-1}-1\)
この数列の初項から第 \(n\) 項までの和 \(S_n\) は
「等比数列の和」と「定数の和」なので
\(\begin{eqnarray} \displaystyle
S_n&=&\sum_{k=1}^{n}(2\cdot 3^{k-1}-1)\\
&=&\sum_{k=1}^{n}2\cdot 3^{k-1}-\sum_{k=1}^{n} 1\\
&=& \frac{2(3^n-1)}{3-1}-n\\
&=&3^n-n-1
\end{eqnarray}\)
シグマの意味は忘れないでくださいね。「和」です。
次は分数に見えてちょっとした変形で階差数列タイプになる漸化式です。
⇒ 分数型から階差数列タイプに変わる漸化式の解き方(例題2)
最終的な処理は同じですけどね。
⇒ 漸化式の解き方パターン一覧と一般項の求め方まとめ(階差数列、分数、累乗など)
順番に見ていった方が分かり易いですが、飛ばせるパターンは飛ばして良いです。