漸化式の解き方パターン一覧と一般項の求め方まとめてみました。階差数列、特性方程式を利用するタイプはよく見る必須手法ですが、分数の形をしたものや累乗の形、または対数を取るものもあります。2項間と3項間では少し違いがあるので見ておくと良いでしょう。
連立するタイプもありますがここでいろいろと紹介し、できるだけ分かりやすく解説を加えておきますので参考にして下さい。
ここにある問題見て、すべての解法を思いつくだけでもかなりのレベルになれます。
先ずは問題を整理するために、思いつくタイプを例題として並べておきます。
本来なら誘導がつくタイプも多くありますが、誘導がなくても一般項を求める方法が思い出せるように省いてあります。
もちろん、誘導がある場合は誘導に乗れば良いだけですよ。
連立タイプなどは行列を使うと楽な場合もありますが、
課程によっては習っていない人もいるだろうからできるだけ使わない方法で解説します。
解説のため解いて行くうちに
「別の問題を追加しておいた方が良いかも?」
と思えるものや、
「この問題は条件追加しよう。」
と問題を変更するかもしれませんが、方針内容に変更はありません。
2項間漸化式の基本タイプ
\( a_1=5\,,\,a_{n+1}=3a_n-4\hspace{7pt} (n=1\,,\,2\,,\,3\,,\cdot)\)
で定められる数列 \(\{a_n\}\) の一般項を求めよ。
2項間漸化式の基本形です。
特性方程式を利用すると早いんですよね。
⇒ 2項間漸化式から一般項を求める問題の解き方の基本パターン
等比数列の形に変形することがポイントです。
2項間漸化式階差タイプ
数列 \( \{a_n\}\) は
\( a_1=1\hspace{7pt},\hspace{7pt}a_{n+1}=3a_n+2\hspace{7pt}(n=1\,,\,2\,,\,3\,,\cdots\,)\)
によって定められる。
数列 \(\{a_n\}\) の一般項を求めよ。
2項間漸化式を階差に持ちも込むタイプ(方法)です。
階差数列で気をつけなければならないことがありましたよね。
それさえ気をつけておけば幅広く使える方法です。
漸化式から一般項を求める際、
階差を取る、添え字をズラす、というのは良くやる方法です。
漸化式を見たら階差数列で表せないか、
ということは最初に考えてみても良いかもしれませんよ。
分数型漸化式タイプ
数列 \( \{a_n\}\) は
\( a_1=\displaystyle \frac{1}{2}\hspace{7pt},\hspace{7pt}\displaystyle \frac{1}{a_{n+1}}=\displaystyle \frac{1}{3a_n}+1\hspace{7pt}(n=1\,,\,2\,,\,3\,,\cdots\,)\)
によって定められる。
数列 \( \{a_n\}\) の一般項を求めよ。
見た目分数でやりずらそうに見えますが
ちょっとした変形で簡単になる問題です。
⇒ 分数型から階差数列タイプに変わる漸化式の解き方(例題2)
変形後はいつも通りです。
定数ではなく関数をもつタイプ
数列 \( \{a_n\}\) は
\( a_1=2\hspace{7pt},\hspace{7pt}a_{n+1}-a_n=2^n+n\hspace{7pt}(n=1\,,\,2\,,\,3\,,\cdots\,)\)
によって定められる。
数列 \( \{a_n\}\) の一般項を求めよ。
定数ではなく \( n\) の関数があるタイプです。
一般的な解き方もありますが、先ずは特殊な形からで良いです。
リンク先は例題3-②と同じなので下にあります。
解き方は少し違うのですが似た形なので追加しておきます。
\(\,n\,\)の多項式の場合も後で追加することになるかもしれません。
\( a_1=1\hspace{7pt},\hspace{7pt}a_{n+1}=2a_n-3^n\)
で定められる数列 \( \{a_n\}\) の一般項を求めよ。
特性方程式を解いて変形する「定数係数線型性2項間漸化式」と呼ばれている漸化式は
「線型2項間漸化式」の特性方程式の解が定数となる型です。
「例題0」などがそうですが、一般的なものはもっと広く応用出来ます。
ただ、
ここでは用語や特殊な形よりもよく見る形の漸化式の変形方法を見ることにしています。
機会があれば追加しますのでたまに見て、参考にして下さい。
別解もリンク先に示しておきました。
指数関数を持つ漸化式
数列 \( \{a_n\}\) は
\( a_1=1\hspace{7pt},\hspace{7pt}a_{n+1}=\displaystyle \frac{a_n}{1+2^{n-1}a_n}\hspace{7pt}(n\,≧\, 1)\)
によって定められる。
数列 \(\{a_n\}\) の一般項を求めよ。
ややこしく見えますが、このタイプは変形ですっきりします。
この問題の前にもにたようなのありますが、
同じようにできるかどうか、確認してみてください。
数列と和で表された漸化式
数列 \( \{a_n\}\) の初項から第 \(n\) 項までの和を \(S_n\) とおくとき
\( a_1=2\hspace{7pt},\hspace{7pt}a_{n+1}=S_n+n^2-n+2\hspace{7pt}(n\,≧\, 1)\)
である。
数列 \( \{a_n\}\) の一般項を求めよ。
数列 \( \{a_n\}\) の和が漸化式に組み込まれたタイプです。
和 \( S_n\) の処理と後の漸化式の解き方、二段階の方針が必要になる問題です。
例題5を解いて行くと分かりますが、
途中で出てきたのが下の漸化式です。
頭に浮かんだ解き方が1つではなかったので追加することにしました。
1次関数を含む漸化式
\( a_1=2\hspace{7pt},\hspace{7pt}a_{n+1}=2a_n+2n-2\)
で表される数列 \( \{a_n\}\) の一般項を求めよ。
この漸化式のように \( n\) の関数を持つタイプには一般的な解き方が存在します。
しかし、ここでは1次式に限定しての解き方を説明しておきます。
⇒ 漸化式にnの1次関数が含まれるときの解き方と別解(例題5-②)
応用範囲は広いですが、せめて1次式だけでも使えると強い。
数列の積(掛け算)がある漸化式
数列 \(\{a_n\}\) が次の関係を満たしている。
\( (2n-1)a_{n-1}a_n=na_{n-1}-(n-1)a_n\hspace{7pt}(n=2\,,\,3\,,\,\cdots)\)
この数列 \(\{a_n\}\) を \(a_1\) と \( n\) で表せ。
ただし、\(a_n > 0\) とする。
数列の積が存在するタイプです。
これはちょっとややこしく感じる処理部分もありますが問題ないでしょう。
逆数を取ると上手くいく漸化式
次の漸化式を満たす数列 \( \{a_n\}\) の一般項を求めよ。
\( a_1\hspace{7pt},\hspace{7pt} a_{n+1}=\displaystyle \frac{a_n}{a_n+1}\hspace{7pt}(n\,≧\, 1)\)
本題は例題7ですが
その前にこの例題7-⓪は見ておいてください。
例題7は逆数がとれないタイプです。
比較してみると違いが分かります。
逆数をとっても上手くいかない漸化式
数列 \(\{a_n\}\) が次の関係を満たしている。
\( a_1=1\hspace{7pt},\hspace{7pt}a_{n+1}=\displaystyle \frac{a_n+2}{a_n}\)
この数列 \( \{a_n\}\) の一般項を求めよ。
一般的な分数タイプの漸化式です。
⇒ 分数の漸化式で逆数をとっても上手くいかないパターン(例題7)
できた方が良いですけど、誘導無しではでません。
3項間漸化式の基本形
数列 \(\{a_n\}\) は \(a_1=1\hspace{7pt},\hspace{7pt}a_2=3\) で次の関係を満たしている。
\( a_{n+2}=3a_{n+1}-2{a_n}\hspace{7pt}(n=1\,,\,2\,,\,\cdots\,)\)
この数列 \(\{a_n\}\) の一般項を求めよ。
いよいよ?
3項間漸化式ですね。
しかし、
センターでも出たことありますが、「これしか方法はない!」ということもありません。
問題に誘導がつくと思っていても良いですが、一通りは見ておくと良いでしょう。
特性方程式が重解を持つ3項間漸化式
\( a_1=0\hspace{7pt},\hspace{7pt}a_2=2\hspace{7pt},\)
\( a_{n+2}-4a_{n+1}+4a_n=0\hspace{7pt}(n=1\,,\,2\,,\,\cdots\,)\)
とするとき、この数列 \( \{a_n\}\) の一般項を求めよ。
特性方程式が重解を持つタイプの3項間漸化式です、
特別にあつかう必要はありませんよ。
累乗型漸化式
項がすべて正である数列 \(\{a_n\}\) において
\( a_1=1\hspace{7pt},\hspace{7pt}a_2=10\hspace{7pt},\)
\( {a_n}^2\,a_{n-2}={a_{n-1}}^3\hspace{7pt}(n=3\,,\,4\,,\,\cdots\,)\)
とするとき、この数列 \( \{a_n\}\) の一般項を求めよ。
累乗タイプの解き方です。
変形をどうするかがポイントですね。
ルートのついた漸化式
\( a_1=2\hspace{7pt},\hspace{7pt}a_2=1\hspace{7pt},\)
\( a_n=\sqrt{a_{n-1}a_{n+1}}\hspace{7pt}(n\,≧\, 2)\)
である数列 \( \{a_n\}\) の一般項を求めよ。
これは指数の性質を理解していれば例題10と同じです。
三項間の漸化式に変形することになります。
連立された漸化式
\( a_1=1\hspace{7pt},\hspace{7pt}b_1=-1\hspace{7pt},\)
\( \begin{cases}
\hspace{7pt} a_{n+1}=4a_n-2b_n\\
\hspace{7pt} b_{n+1}=a_n+b_n
\end{cases}\)
\( (n=1\,,\,2\,,\,\cdots \,)\)
である数列 \( \{a_n\}\) および \( \{b_n\}\) の一般項を求めよ。
漸化式の連立タイプ(連立線型漸化式)です。
⇒ 漸化式が連立されている(連立線型漸化式)一般項の求め方(例題12)
3項間漸化式への変更となりますが方法は1つではありません。
各問題の解説はリンク先のページでしますので、
1つひとつ見ていけば良いです。
あれ?
これってあの方法でも解けるのでは?
と感じたらやってみると良いです。
数学の解法は1つとは限りませんよ。
問題集などではこういう解き方があるという例をあげているに過ぎません。
「これじゃないとダメ!」
なんてことは数学の解答にはありませんよ。
漸化式を解くために先ずは
「漸化式」とは何か?
思い出しておいてください。
いずれ確率にも使えるようになります。