2項間漸化式がnの指数関数になっているタイプの例題の解き方別解です。
漸化式の解き方は決まっているわけではありません。
基本的なものはありますが、他のパターンはほとんどが最初の手順で決まります。
繰り返し復習するのは、最初の手順をどうするかということです。
漸化式を解くときの最初の手順は覚えておくと楽ですが、
もっと大切なのは「いろいろ試して見る」ということにかわりはありませんよ。
指数関数を持つ漸化式で頻出タイプ例題3-②別解
前の解答では係数をそろえて階差をつくるため定数変化させましたが、
指数関数部分を定数に変えて見ましょう。
\( a_1=1\hspace{7pt},\hspace{7pt}a_{n+1}=2a_n-3^n\)
で定められる数列 \( \{a_n\}\) の一般項を求めよ。
\( a_{n+1}=2 a_n-3^n\)
この両辺を \( 3^{n+1}\) で割ります。
割るのは \( 3^n\) でも良いのですが、後で説明しますね。
\( a_{n+1}=2 a_n-3^n\)
の両辺を \( 3^{n+1}\) で割ると
\(\hspace{10pt}\displaystyle \frac{a_{n+1}}{3^{n+1}}=\frac{2a_n}{3^{n+1}}-\frac{3^n}{3^{n+1}}\\
\displaystyle \Leftrightarrow \color{red}{\frac{a_{n+1}}{3^{n+1}}}=\frac{2}{3}\cdot \color{red}{\frac{a_n}{3^n}}-\frac{1}{3}\)
ここで
\(\displaystyle b_n=\color{red}{\frac{a_n}{3^n}} , b_{n+1}=\color{red}{\frac{a_{n+1}}{3^{n+1}}}\)
とおくと、
\(\displaystyle b_{n+1}=\frac{2}{3}b_n-\frac{1}{3}\)
これは普通の2項間漸化式として解けば良いだけです。
\(\hspace{10pt} b_{n+1}=\displaystyle \frac{2}{3}b_n-\displaystyle \frac{1}{3}\\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} b_{n+1}+1=\displaystyle \frac{2}{3}(b_n+1)\)
数列 \( \{b_n+1\}\) は等比数列なので
\(\begin{eqnarray} \displaystyle
b_n+1&=&(b_1+1)\cdot \left( \frac{2}{3}\right)^{n-1}\\
&=&( \frac{1}{3}+1)\cdot \left( \frac{2}{3}\right)^{n-1}\\
&=& \frac{4}{3}\cdot\left( \frac{2}{3}\right)^{n-1}\\
&=& \frac{2^{n+1}}{3^n}
\end{eqnarray}\)
これから
\(\hspace{10pt} b_n=\displaystyle \frac{2^{n+1}}{3^n}-1\)
よって
\(\hspace{10pt} b_n=\displaystyle \frac{a_n}{3^{n}}\hspace{5pt} \\
\Leftrightarrow \hspace{5pt}a_n=3^n\cdot b_n\)
なので
\(\begin{eqnarray}
a_n&=&3^n\left(\displaystyle \frac{2^{n+1}}{3^n}-1\right)\\
&=&\underline{ 2^{n+1}-3^n }
\end{eqnarray}\)
と求めることもできるのです。
指数に合わせて割らなかった理由
何故\(\,3^n\,\)で割らなかったか?
\( a_{n+1} = 2 a_n- 3^n \,\)を\(\, \color{blue}{3^n}\,\)で割ると
\(\hspace{10pt}\displaystyle \frac{a_{n+1}}{\color{blue}{3^n}}=\frac{2a_n}{\color{blue}{3^n}}-1\) ・・・②
と右辺はきれいに見えるのですが左辺は添え字がそろっていません。
漸化式では添え字をそろえておく必要があるので、さらに全体を3で割ることになります。
②の両辺を3で割って右辺の添え字をそろえると
\(\hspace{10pt} \displaystyle \frac{a_{n+1}}{3^{n+1}}=\displaystyle \frac{2a_n}{3^{n+1}}-\displaystyle \frac{1}{3}\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} \displaystyle \frac{a_{n+1}}{3^{n+1}}=\displaystyle \frac{2}{3}\cdot \displaystyle \frac{a_n}{3^n}-\displaystyle \frac{1}{3}\)
と変形できますが、最初から\(\,\color{red}{3^{n+1}}\,\)で割った方が早いのでした。
ああ、それとこの②を「3で割る」という代わりに
左辺だけを変形することでも解決します。
\(\begin{eqnarray}\displaystyle
\frac{a_{n+1}}{3^n}&=&\frac{2a_n}{3^n}-1\\
\Leftrightarrow \color{red}{\frac{3}{3}}\cdot\frac{a_{n+1}}{3^n}&=&\frac{2a_n}{3^n}-1\\
\Leftrightarrow \frac{3a_{n+1}}{3^{n+1}}&=&\frac{2a_n}{3^n}-1\\
\Leftrightarrow 3\cdot \frac{a_{n+1}}{3^{n+1}}&=&2\cdot \frac{a_n}{3^n}-1
\end{eqnarray}\)
ここで
\(\hspace{10pt}\displaystyle b_n=\frac{a_n}{3^n} , b_{n+1}=\frac{a_{n+1}}{3^{n+1}}\)
とおくことで
\(\hspace{10pt} 3b_{n+1}=2b_n-1\)
とすることもできます。
漸化式の特殊解の利用
ところで、この問題は解法がさらに別にあります。
特殊解が関係するので、ある程度漸化式のパターンに慣れてきてからで良いですが、
\(\hspace{10pt}a_{n+1} = 2 a_n- 3^n\\
\Leftrightarrow \hspace{5pt} a_{n+1}\color{red}{+3^{n+1}}=2(a_n\color{red}{+3^n})\)
と変形できれば
数列\(\,\{a_n+3^n\}\,\)が等比数列ということから
\(\begin{eqnarray}
a_n+3^n&=&(a_1+3^1)\cdot 2^{n-1}\\
&=&(1+3)\cdot 2^{n-1}\\
&=&4\cdot 2^{n-1}\\
&=&2^{n+1}
\end{eqnarray}\)
よって、
\( a_n=2^{n+1}-3^n\)
これは\(\, p\neq 1\,\)の一般的な漸化式が
\(\hspace{10pt} a_{n+1}=pa_n+q(n)\)
のときの特殊解がある程度絞れることからできることで、
普通は誘導がつくだろうから今は考えないことにしましょう。
方法はどれを選んでも、何を思いついても、何でも良いですよ。
とにかく解法パターン0と階差数列の作り方ができていればおおよその漸化式は大丈夫です。
次も \( n\) の指数関数を含みますが分数になっています。
⇒ 指数関数を係数に含んでいる分数型2項間漸化式の変形(例題4)
分数タイプってやったことありますよね?
同じように解けるのでしょうか。
⇒ 漸化式の解き方パターン一覧と一般項の求め方まとめ(階差数列、分数、累乗など)
答えまで導く計算力(式変形)は別にして、
一般項を求めるための漸化式の変形パターンを覚えられれば良いですよ。