数列が連立されているパターンの漸化式の一般項の求め方です。
連立線型漸化式と呼ばれますが、連立方程式のように1つの数列を消去とはいきません。
これも解き方はいろいろありますし、誘導無しで出る事はないでしょうが、一般的な解き方を紹介しておくことにします。

行列を知らない場合、解答の選択肢が減りますが、
解けないわけではありませんので見ておいてください。

連立漸化式の問題と解くときのコツ

例題12

 \( a_1=1\hspace{7pt},\hspace{7pt}b_1=-1\hspace{7pt},\)

 \( \begin{cases}
\hspace{7pt} a_{n+1}=4a_n-2b_n\\
\hspace{7pt} b_{n+1}=\hspace{5pt}a_n\hspace{3pt}+\hspace{7pt}b_n\\
\end{cases}\)
 \( (n=1\,,\,2\,,\,\cdots \,)\)
である数列 \( \{a_n\}\) および \(\{b_n\}\) の一般項を求めよ。

連立さえているので消去法をやってみようとしてもスンナリとはいきません。
そこでちょっと手を加えます。

一般的にではなく、この問題に合わせて
漸化式の \(b_{n+1}\,,\,b_n\) を消去する方向で考えてみましょう。

 \(a_{n+1} = 4a_n-2b_n\)
 \( \Leftrightarrow \hspace{5pt} 2b_n= -a_{n+1}+4a_n\) ・・・①

これでは \(b_{n+1}\) がでていませんので添え字をズラしておきます。

 \( 2b_{n+1}= -a_{n+2}+4a_{n+1}\) ・・・②

これに連立されている下の式

 \( b_{n+1}=\color{red}{a_n+b_n}\) を代入すると

 \( 2(\color{red}{a_n+b_n})=-a_{n+2}+4a_{n+1}\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{5pt} a_{n+2}-4a_{n+1}+2a_n+2b_n=0\)

さらに②を代入すると

 \( a_{n+2}-4a_{n+1}+2a_n+2\,\underline{\color{red}{b_n}}=0\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} a_{n+2}-4a_{n+1}+2a_n+(\underline{\color{red}{-a_{n+1}+4a_n}})=0\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} a_{n+2}-5a_{n+1}+6a_n=0\)

これは単なる3項間漸化式なので

 \( \begin{cases}
\hspace{7pt} a_{n+2}-2a_{n+1}=3(a_{n+1}-2a_n) \\ \\
\hspace{7pt} a_{n+2}-3a_{n+1}=2(a_{n+1}-3a_n) \\
\end{cases}\)

と変形できて

この変形が出来ないときは
⇒ 3項間の漸化式の解き方(基本形例題8解説)
を参照してください。

数列 \( \{a_{n+1}-2a_n\}\) は公比3の等比数列で \( \color{red}{a_1}=1\)
および連立されている上の漸化式から
 \(\color{blue}{a_2}=4a_1-2b_1=4+2=6\)
であることから
 \( a_{n+1}-2a_n=(\color{blue}{a_2}-2\color{red}{a_1})\cdot 3^{n-1}=(6-2)\cdot 3^{n-1}\)

 \( ∴  a_{n+1}-2a_n=4\cdot 3^{n-1}\) ・・・③

数列 \( \{a_{n+1}-3a_n\}\) は公比2の等比数列で

 \( a_{n+1}-3a_n=(a_2-3a_1)\cdot 2^{n-1}=(6-3)\cdot 2^{n-1}\)

 \( ∴  a_{n+1}-3a_n=3\cdot 2^{n-1}\) ・・・④

③と④から \(a_{n+1}\) を消去すれば(③-④)、

 \( \underline{\underline{a_n=4\cdot 3^{n-1}-3\cdot 2^{n-1}}}\)

数列 \(\{b_n\}\) の一般項も同様に求めることができます。

 \( \underline{\underline{b_n=2\cdot 3^{n-1}-3\cdot 2^{n-1}}}\)

となるのでやって見てください。
ズラして変形は漸化式では良く使いますよね。

しかし、\(a_n\,,\,b_n\) を別々に求めなくても良い方法もあります。

連立漸化式を等比数列タイプに変形する

もう一度連立された漸化式を見ておきます。

 \( a_1=1\hspace{7pt},\hspace{7pt}b_1=-1\hspace{7pt}\),

 \( \begin{cases}
\hspace{7pt} a_{n+1}=4a_n-2b_n\\ \\
\hspace{7pt} b_{n+1}=\hspace{5pt}a_n\hspace{3pt}+\hspace{7pt}b_n\\
\end{cases}\)

この連立線型漸化式を

 \( a_{n+1}+p b_{n+1}=q(a_n+p b_n)\) ・・・⑤

と変形することを目標にします。
数列 \(\{a_n+pb_n\}\) を等比数列として処理したいのです。
普通はこれが誘導になります。

⑤の \(b_{n+1}\) をなくせば、連立されている上の漸化式

 \(a_{n+1}=4a_n-2b_n\)

と同じになるはずです。

連立されている下の式

 \( b_{n+1}=a_n+b_n\)

を⑤に代入すると

 \( a_{n+1}+p\,\underline{\color{red}{b_{n+1}}}=6q\,(a_n+p b_n)\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{10pt} a_{n+1}+p\,\underline{(\color{red}{a_n+b_n})}=q\,(a_n+p b_n)\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{10pt} a_{n+1}=(\,q-p\,)\,a_n+(\,pq-p\,)\,b_n
\)

これは連立された上の漸化式と一致するはずなので

 \( a_{n+1}=4a_n-2b_n\)

と係数比較して、

 \( \begin{cases}
\hspace{7pt} q-p=4 \\ \\
\hspace{7pt} pq-p=-2 \\
\end{cases}\)

これを解くと

 \( q-p=4 \hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt}q=p+4\)

から

 \( pq-p=-2\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{10pt} p(p+4)-p=-2\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{10pt} p^2+3p+2=0\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{10pt} (p+1)(p+2)=0\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{10pt} p=-1\,,\,-2\)

だから \( (\,p\,,\,q\,)\) の組合せは

 \( (\,p\,,\,q\,)=(\,-1\,,\,3\,)\hspace{7pt},\hspace{7pt}(\,-2\,,\,2\,)\)

のふた通り出てきます。

このとき漸化式も

 \( a_{n+1}+p b_{n+1}=q(a_n+p b_n)\) ・・・⑤

 \( a_{n+1}\color{red}{- }b_{n+1}=\color{red}{3}(a_n\color{red}{- }b_n)\) ・・・⑥
 \( a_{n+1}\color{red}{-2} b_{n+1}=\color{red}{2}(a_n\color{red}{-2} b_n)\) ・・・⑦
とふた通り表せます。

この後はもう分かると思うのですが一応解いておきましょう。

⑥の数列 \(\{a_n- b_n\}\) は公比3の等比数列なので

 \( a_n- b_n=(a_1-b_1)\cdot 3^{n-1}=(1+1)\cdot 3^{n-1}\)

 \( ∴  a_n- b_n=2\cdot 3^{n-1}\) ・・・⑧

⑦の数列 \(\{a_n-2 b_n\}\) は公比2の等比数列

 \( a_n- 2b_n=(a_1-b_1)\cdot 2^{n-1}=(1+2)\cdot 2^{n-1}\)
 \( ∴ a_n-2b_n=3\cdot 2^{n-1}\) ・・・⑨

\(⑧-⑨\) より
 \( b_n=2\cdot 3^{n-1}-3\cdot 2^{n-1}\)

また \(⑧\times 2-⑨\) より
 \(a_n=4\cdot 3^{n-1}-3\cdot 2^{n-1}\)

問題によっては連立された漸化式を足したり、引いたりするだけで解決できる問題もありますが、こっちの一般タイプができれば問題はありません。

解法はこれらだけでなく、行列を使った方法もありますが、マニアックな解答は模擬試験では使わない方が良いです。
採点者が大学生などのアルバイトの場合、方法自体を知らないので減点されます。
実際、大手予備校の1回の模試中、数学だけで40点分採点ミスを確認しました。
(予備校に持ち込み確認。)
この状況があるのに「数学の論理力が必要」という大学が増えています。
模擬試験から徹底してもらわないとチャレンジ基準もわからない。笑

大学入試本番では専門の教授や講師陣が採点するだろうから大丈夫だとは思いますが、
受験で必要な数学の論理力って?
どこまでのことをいっているのか、わかりにくいですね。笑

ここまでいろいろなパターンの漸化式の解き方を見てきました。
もう一度最初に戻って見てください。

⇒ 漸化式の解き方パターン一覧

「これって、この方法でも解決できる!」
というのが見つけられたら、漸化式は大丈夫です。