三角比で出てくる公式や関係式は多くはありません。
いくつかのパターンを覚えてしまえば計算問題も解き方で迷うことはほとんどないのですが、やはり基本からやっておいた方が良いでしょう。
定理や図形が関係するものは別に取り上げるので、先ずは三角比の計算になれておきましょう。

三角比で覚えておかなければならない公式、関係式

三角比で出てくるのは
 \(\sin \theta\) と \( \cos \theta\) と \( \tan\theta\) だけです。

三角関数では \( \sin x\) とすることもありますが、
三角比では \( \sin \theta\) と表すので先ずは苦手意識をなくしてください。

角度についても \( \color{red}{0^\circ ≦ \theta ≦ 180^\circ}\) に限られます。

これはそれほど説明も必要無いとは思いますが、
 \( \sin \theta,\cos \theta,\tan \theta\) の象限(第1と第2だけ)による、
値の正負は教科書でも確認しておいてください。

角度(°)030456090120135150180
\(\sin\)
\( \cos\)
\( \tan\)

この表は覚えるのではなく、三角形を書いてその都度書き出せるようになっておきましょう。
学校で暗記させられるのかわかりませんが、暗記した数値しか出てこない人がいます。
また、間違えて覚えていたらアウトです。

さらに、
三角比で覚えておかなければならない公式、関係式は少ないです。

まずは

 \(\displaystyle\color{red}{\tan \theta=\frac{\sin\theta}{\cos\theta}}\)

および

 \( \color{red}{\sin^2\theta+\cos^2\theta=1}\)

もう一つ

 \(\displaystyle \color{red}{1+\tan^2 \theta=\frac{1}{\cos^2 \theta}}\)

というのがありますが、

 \(\color{red}{\sin^2\theta+\cos^2\theta=1 の両辺を}\)
 \(\color{red}{\cos^2\theta \neq 0 で割ったもの}\)

なので、
覚えていなくても別に困りはしません。
ただ、簡単なので覚えておいた方が計算処理は少し早いです。

この3つは必ず覚えておくこととしましょう。

これだけではありません。

 \( \tan \theta=\displaystyle \frac{\sin\theta}{\cos\theta}\)

から

 \( \sin\theta=\cos\theta \tan\theta\)

などとすれば他の関係式も表現出来ますが、必要無いだけです。

値を求めて代入する問題の解き方

問題を見ますが解き方はいろいろあるということも知っておいてください。

スマートな解き方なんて最初は必要ありませんよ。

例題1
 \( 0^\circ ≦ \theta ≦ 180^\circ\) とする。

(1)
 \(\displaystyle \cos\theta=\frac{1}{2}\) のとき、\( \sin\theta \tan\theta\) の値を求めよ。

(2)
 \(\displaystyle \tan\theta=-\frac{1}{3}\) のとき、\( (\sin\theta+\cos\theta)^2\) の値を求めよ。

こういう問題は、\( \sin\theta\) と \( \cos\theta\) の値を求めておけばほぼ答えが出せます。

 \(\tan\theta\) の値は必要ありません。
あれば使えますが、なくても答えは出せますよ。

与式に \( \tan\theta\) がある場合はなくすように変形しておけば良いのです。

(1)
与式に \( \tan\theta\) があるのでなくしておきます。

 \( \sin\theta \tan\theta\\ \\
= \sin\theta \cdot \displaystyle \frac{\sin\theta}{\cos\theta}\\ \\
=\displaystyle \frac{\sin^2\theta}{\cos\theta}\)

これで \( \sin\theta\) の値でなく \( \sin^2\theta\) の値がわかれば良いことに気がつきます。

 \(\sin^2\theta+ \cos^2\theta=1\) から \(\sin^2\theta=1- \cos^2\theta\)

これに条件式 \(\displaystyle \cos\theta=\frac{1}{2}\) を代入すると

 \( \sin^2\theta=1- \displaystyle \frac{1}{4}=\displaystyle \frac{3}{4}\)

よって

 \( \sin\theta \tan\theta=\displaystyle \frac{\sin^2\theta}{\cos\theta}\\ \\
=\displaystyle \frac{\,\displaystyle \frac{3}{4}\,}{\,\displaystyle \frac{1}{2}\,}=\displaystyle \color{red}{\frac{3}{4}\div \displaystyle \frac{1}{2}}\\ \\
=\displaystyle \frac{3}{4}\times \displaystyle \frac{2}{1}=\displaystyle \frac{3}{2}\)
(繁分数の処理が苦手な人は割り算に戻すと良いですよ。)

ここでは与式をちょっといじって様子を見たので \( \sin\theta\) の値は必要無いとわかりましたが求めておいても良いですよ。
その後に \(\sin^2\theta\) を求めるのは簡単ですからね。
(というか、計算途中で出てきているはずです。)

時間は少しかかりますが、\(\tan\theta\) の値を求めにいっても問題ありません。

 \( 1+\tan^2\theta=\displaystyle \frac{1}{\cos^2\theta}\\ \\
\hspace{7pt}\Leftrightarrow \hspace{10pt} \tan^2\theta=\displaystyle \frac{1}{\cos^2\theta}-1=4-1=3\)

答えが出せることが大切です。
変形の仕方によっては \( \sin\theta=\cos\theta \tan\theta \) なので

 \( \sin\theta \tan\theta=\cos\theta \tan^2\theta=\displaystyle \frac{1}{2}\times 3=\displaystyle \frac{3}{2}\)

間違った変形をしていないなら、何でもありです。w
ただし、\(\color{red}{変形次第で \tan\theta は必要無い}\)ということを繰り返しておきます。

(2)
条件式

 \( \tan\theta=-\displaystyle \frac{1}{3}\)

与式

 \( (\sin\theta+\cos\theta)^2\)

です。

 \(\sin\theta\) も \( \cos\theta\) も分かっていないので求めておきましょう。
そのための条件式です。

ただ、(1)のようにムダな計算が省けるかもしれませんので与式を変形しておくと良いかもしれませんね。

 \( (\sin\theta+\cos\theta)^2\\ \\
=1+2\sin\theta \cos\theta \)

となりましたが、ここは素直に \( \sin\theta\) , \( \cos\theta\) を求めておきましょう。w

 \(\displaystyle\tan\theta=-\frac{1}{3}\) を \(\displaystyle 1+\tan^2\theta=\frac{1}{\cos^2\theta}\) に代入して、

 \( 1+\displaystyle \frac{1}{9}=\displaystyle \frac{1}{\cos^2\theta} \\ \\
\hspace{7pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} \displaystyle \frac{10}{9}=\displaystyle \frac{1}{\cos^2\theta}\\ \\
\hspace{7pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt}10\cos^2\theta=9\)

より

 \( \cos\theta=\pm \displaystyle \frac{3}{\sqrt{10}}\)

ここで

 \(\displaystyle\color{red}{\tan\theta=-\frac{1}{3}}\) なので

 \( \theta\) は範囲が \(0^\circ ≦ \theta ≦ 180^\circ \) だから第2象限で、

 \(\displaystyle\cos\theta=-\frac{3}{\sqrt{10}} \hspace{7pt} < \hspace{7pt}0\) となり、

 \(\displaystyle \tan\theta=\frac{\sin\theta}{\cos\theta}\) か \( \sin^2\theta+\cos^2\theta=1\)

のいずれかに代入して求めると

 \(\displaystyle\sin\theta=\frac{1}{\sqrt{10}} \hspace{10pt}>\hspace{7pt}0\)

ごちゃごちゃと説明を書いたので見にくくなりましたが、
普通に計算できればすっきりしています。

 \( \cos\theta=-\displaystyle \frac{3}{\sqrt{10}} \hspace{10pt} ,\hspace{10pt}\sin\theta=\displaystyle \frac{1}{\sqrt{10}} \)

よって、
 \((与式)\\ \\
=1+2\sin\theta \cos\theta\\ \\
\displaystyle =1+2\times \frac{1}{\sqrt{10}} \times \left(-\frac{3}{\sqrt{10}}\right)\\ \\
\displaystyle =1-\frac{3}{5}=\frac{2}{5}\)

実は、\( 0^\circ ≦ \theta ≦ 180^\circ \) という条件がなくても、答えは同じになります。

 \(\tan\theta \hspace{7pt}<\hspace{7pt} 0\) なので第2、4象限のどちらかですが、

 \( \sin\theta\) と \( \cos\theta\) の符号が入れ替わるので結果は1つです。

ここでは

 \(\displaystyle 1+\tan^2\theta=\frac{1}{\cos^2\theta}\)

を利用しましたが、

 \(\displaystyle \tan\theta=\frac{\sin\theta}{\cos\theta}\)

を利用することもできます。

 \(\displaystyle\tan\theta=\frac{\sin\theta}{\cos\theta}=-\frac{1}{3}\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{5pt} 3\sin\theta=-\cos\theta\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{5pt} \cos\theta =-3\sin\theta\)

これを \( \sin^2\theta+\cos^2\theta=1\) に代入して \( \sin\theta\) から求めることもできます。

間違えた方法でなければ何でも良いんですよ。www

それぞれの数値が求められなくても与式の値が求まる問題の解き方

例題2
\( 0^\circ ≦ \theta ≦ 180^\circ\) とする。

(1)
 \(\displaystyle \sin\theta+\cos\theta=\frac{1}{2}\) のとき
 \( \sin^4\theta+\cos^4\theta\) の値を求めよ。

(2)
 \(\displaystyle \sin\theta-\cos\theta=\frac{1}{2}\) のとき
 \( \sin^3\theta-\cos^3\theta\) の値を求めよ。

これは対称式・交代式の三角比版のようなものです。
違うのは、三角比では \( \sin^2\theta +\cos^2\theta=1\) が使えるということくらいです。

(1)
 \((与式)\\ \\
=(\sin^2\theta+\cos^2\theta)^2-2\sin^2\theta \cos^2\theta\\ \\
=1-2\sin^2\theta \cos^2\theta\\ \\
=1-2(\sin\theta \cos\theta)^2\)

と変形しておくと見えてきます。

 \( \sin\theta \cos\theta\) の値が分かればいいわけです。

この変形は対称式の変形と同じです。
対称式で手を抜いてはいけない理由もよくわかるでしょう。

⇒ 対称式の値を求める問題と解き方

条件式
 \(\displaystyle\sin\theta+\cos\theta=\frac{1}{2}\)
を両辺平方すると、

 \( (\sin\theta+\cos\theta)^2=\displaystyle \frac{1}{4}\\ \\
\hspace{10pt} \Leftrightarrow \hspace{10pt} 1+2\sin\theta \cos\theta=\displaystyle \frac{1}{4}\)

より

 \( \sin\theta \cos\theta=-\displaystyle \frac{3}{8}\)

よって
 \((与式)\\ \\
\displaystyle=1-2\left(-\frac{3}{8}\right)^2\\ \\
\displaystyle =1-2\left(\frac{9}{64}\right)\\ \\
\displaystyle=1-\frac{9}{32}=\frac{23}{32}\)

となります。

 \( \sin^4\theta+\cos^4\theta=(\sin^2\theta+\cos^2\theta)^2-2\sin^2\theta \cos^2\theta\)

の対称式の変形さえ出来ればなんてことはありません。

(2)
交代式ですが、与式を変形して方針を立てていきましょう。
与式の \(\sin^3\theta-\cos^3\theta\) ですが2つの変形が可能です。

 \(\sin^3\theta-\cos^3\theta=(\sin\theta-\cos\theta)^3+3\sin\theta \cos\theta(\sin\theta-\cos\theta)\) ・・・①

および

 \(\sin^3\theta-\cos^3\theta=(\sin\theta-\cos\theta)(\sin^2\theta+2\sin\theta\cos\theta+\cos^2\theta)\) ・・・②

どちらにしても同じく \( \sin\theta \cos\theta\) が分かればいい。

対称式,交代式ではどちらも変形できるようになっておいた方が良いですね。
三角比、三角関数では、 \(\color{red}{\sin^2\theta+\cos^2\theta=1}\) が使えるので因数分解利用も早いです。

 \(\sin\theta \cos\theta\) を出すには、「\(\color{red}{条件式を平方}\)」すればでます。

条件式の両辺平方すると、

 \( (\sin\theta-\cos\theta)^2=\displaystyle \frac{1}{4}\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{10pt} 1-2\sin\theta \cos\theta =\displaystyle \frac{1}{4}\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{10pt} \sin\theta \cos\theta =\displaystyle \frac{3}{8}\)

よって、①から求めると、

 \((与式)\\ \\
\displaystyle =\left(\frac{1}{2}\right)^3+3\times \frac{3}{8}\times \frac{1}{2}\\ \\
\displaystyle=\frac{1}{8}+\frac{9}{16}\\ \\
\displaystyle=\frac{11}{16}\)

同様に②から求めると、
 \((与式)\\ \\
\displaystyle=\frac{1}{2}\times \left(1+\frac{3}{8}\right)\\ \\
\displaystyle=\frac{1}{2}\times \frac{11}{8}\\ \\
\displaystyle=\frac{11}{16}\)

と、当然同じ答えになります。

対称式、交代式に三角比が関連してきただけの問題でした。

三角比の問題に見えて対称式、交代式の問題ってよくあります。

⇒ 数学Ⅰ式の変形 因数分解と対称式、基本対称式

三角比よりも利用範囲が広いのでおろそかにはできませんね。

次は三角方程式です。

⇒ 三角方程式の解き方と注意すべき解の個数

普通の方程式より手順が増えますが、簡単にできます。