対称式の値を基本対称式変形を利用して求める方法です。
対称式の重要性は解と係数の関係を利用する問題を見てもわかりますが、どの分野においても大切なポイントになります。
ここでは式の値を求める問題について具体的に例題をあげて解き方を説明しますので参考にしてみて下さい。
対称式とは
対称式についてはあちこちで説明してありますけど、ここでも少し説明しておきましょう。
2つの文字\(\,x,y\,\)の式があって、\(\,x\,\)と\(\,y\,\)を入れかえても元の式と同じ値になる式のことを対称式といいます。
例えば、
\( \color{red}{x^2}+\color{green}{y^2}\,\)
の\(\,\color{red}{x}\,\)と\(\,\color{green}{y}\,\)を入れかえると、
\(\color{green}{y^2}+\color{red}{x^2}\,\)
となり順番が違うだけで同じです。
この対称式は、基本対称式で必ず表せます。
(文字2つの場合は\(\,x+y\,\)と\(\,xy\,\) )
対称式を基本対称式で表せれば、
基本対称式の値は条件式として与えられているので答えを出すのは簡単です。
(解と係数の関係を利用する場合はこの基本対称式の値を先に求めることになります。)
ただし、対称式を基本対称式で表す練習は少ししておいた方が良いですよ。
慣れれば簡単ですが、練習していない人にとっては何をすれば良いか、方針が立ちません。
そもそも対称式を知らない人は、数学は苦手なはずです。
あらゆる分野で利用する基本型なので方針を立てるのにも時間がかかるはずですから。
2つの文字の対称式
\( x+y=5 , xy=3\) のとき、
\( x^2+y^2\) および \( x^3+y^3\) の値を求めよ。
一つ目の対称式
\(\hspace{10pt}x^2+y^2\)
これは中学生でも見たことあるでしょう。
基本対称式を使って変形し、対称式の値を代入します。
\(\hspace{10pt} x^2+y^2\\
=(x+y)^2-2xy\\
=(5)^2-2(3)\\
=\underline{ 19 }\)
二つ目の
\(\hspace{10pt}x^3+y^3\)
これは展開公式が利用出来ます。
展開公式
\(\hspace{10pt} (x+y)^3=x^3+3x^2y+3xy^2+y^3\)
を変形すると
\(\hspace{10pt} \color{blue}{x^3+y^3}\\
=(x+y)^3-3x^2y-3xy^2\\
=\color{blue}{(x+y)^3-3xy(x+y)}\)
ただし、
\(\hspace{10pt} x^3+y^3\)
は因数分解もできます。
\( \color{red}{x^3+y^3=(x+y)(x^2-xy+y^2)}\)
因数分解の公式を覚えることに集中していて対称式変形がおろそかになりがちですが、
この因数分解公式と
\( \color{blue}{x^3+y^3=(x+y)^3-3xy(x+y)}\)
の基本対称式変形は同時に覚えておきましょう。
それほど差はありませんが、問題によって使い分けると非常に便利です。
基本対称式の値を代入しましょう。
\(\hspace{10pt} x^3+y^3\\
=(x+y)^3-3xy(x+y)\\
=(5)^3-3(3)(5)\\
=125-45\\
=\underline{ 80 }\)
このように簡単に計算できますが、数学の解法が1つでなく、もっと融通の利くものだということを示しておきます。
(「これじゃないとダメ」なんていうことはありません。)
因数分解型の変形から、
\(\hspace{10pt} x^3+y^3=(x+y)(x^2-xy+y^2)\)
となりますが、先に\(\,x^2+y^2\,\)は求めているので、
\(\hspace{10pt} x^3+y^3\\
=(x+y)(x^2+y^2-xy)\\
=(5)(19-3)\\
=5\times 16\\
=\underline{ 80 }\)
とすることも出来ます。
または、\( x^3+y^3\) の部分を作りたいので、
\(\hspace{10pt} (x+y)(x^2+y^2)\)
を強引に展開して、
\(\hspace{10pt} (x+y)(x^2+y^2)\\
=\color{red}{x^3}+xy^2+yx^2+\color{red}{y^3}\)
移項して
\(\hspace{10pt} \color{red}{x^3+y^3}\\
=(x+y)(x^2+y^2)-(xy^2+yx^2)\\
=(x+y)(x^2+y^2)-xy(x+y)\\
=(5)(19)-(3)(5)\\
=95-15\\
=\underline{ 80 }\)
という方法でもかまいません。あるものは何を使っても良いんです。
ただし、解法の引き出しを増やすためにも1つひとつの基礎は身につけておきましょう。
これらの方法はパッと見た目で判断するのでなく、
実際に手を動かして式変形を試して見るというのは数学の基本作業です。
※
この「先に求めた値」を利用するのは、
求値式が\(\,x^5+y^5\,\)などの次数が高いときに使うことが多いです。
大切なことなので何度も言いますが、一度は自分で結果まで導いて下さい。
人の解法、解答を見てやった気にならないことです。
学校の宿題やテストの解答などもそうだけど、問題集などの演習のときも、一度は結果まで自分で導いて見ることが大切なのです。
何度も同じ計算をする必要はありません。
計算ミスはテストの時に見直しで減らすしか方法はない、といっておきましょう。
ですが、
方針はすぐに立てられるだけ問題は繰り返しておかないと意味がありません。
優秀な先生方は、数学で『考える』ことが大切といわれますが、私のような凡人からしてみれば
「考える=迷っている」
なので、考える時間はほとんどないというのが高校数学だと思っていて下さい。
大学入試の本試験は(難しい大学ほど)多少の「実験する」時間はありますけどね。
ほとんど理系です。
つまり、
ある程度の定石と、作業方法をしっかり覚えておけば大丈夫だということです。
そのためにも同じ問題でいいので繰り返すことです。
2次方程式や3次方程式の解と係数の関係は、
解の和や積が基本対称式に見えませんか?
2次方程式\(\,ax^2+bx+c=0\,\)における
\(\hspace{10pt}\color{red}{\alpha+\beta}\hspace{6pt}\)や\(\hspace{6pt}\color{red}{\alpha \beta}\)
3次方程式\(\,ax^3+bx^2+cx+d=0\,\)における
\(\hspace{10pt}\color{red}{\alpha+\beta+\gamma}\)
や
\(\hspace{10pt}\color{red}{\alpha \beta+\beta \gamma +\gamma \alpha}\)
や
\(\hspace{10pt} \color{red}{\alpha \beta \gamma}\)
です。
(二つ目の式は3つの文字の基本対称式です。)
ここまでの関係式を出して、その後が問題になっているもの多いですね。
次は交代式の計算問題に行きます。
対称式と交代式はセットで取り組んでおくといいですよ。
受験に限らず数学\(\,Ⅰ\,\)はできて当たり前、の数学の基本です。