因数分解は割と対策しようとしますが対称式はほとんど意識されていません。センター試験の対策として繰り返しになりますが、数学Ⅰはすべての単元の基礎となります。そのうちの1つ、対称式を基本対称式で表す方法、これも覚えておきましょう。こういう基本的なところで手を抜くとせンター試験会場をお通夜状態にしてしまいます。


公式よりも使うことが多い対称式

展開公式と因数分解公式は逆の操作ですが、
どちらかというと因数分解公式より基本対称式を利用する問題の方が多いくらいです。
因数分解でも解けるけど対称式を利用した方が計算が楽になることが多いということです。

注意:自分でノートに式を書き写しながら読むと理解しやすいです。

例えば、

 \(\color{red}{ x^2+y^2=(x+y)^2-2xy}\)

こんなのは中学で見たことあるかもしれませんね。
一方で

 \(\color{red}{ x^3+y^3=(x+y)^3-3xy(x+y)}\)

ここらは普通に高校で使います。
これら対称式利用の問題がよく出される理由ですが、
公式は機械的に覚えていれば誰でも使えるようになるものだけど、
対称式は少しは考えさえる問題になるからです。

 \( x^4+y^4\\ \\
=(x^2+y^2)^2-2x^2y^2\\ \\
=\{(x+y)^2-2xy\}^2-2(xy)^2\)

とか、5乗の対称式とか、基本対称式だけでなく誘導で(前の問題)で求めたものを利用する方法とか、覚えておくと良く出てきますよ。
 \( 交代式となる (x-y) の出し方\)
なども覚えておくと良いですね。

できないのではなくて、公式ではないので覚えようとしていないだけです。
単なる計算だからできるようになりますよ。対称式については中学の単元でも説明していますが、復習しながら少し発展させてみましょうか。

文字2つの対称式

先ずは2つの文字についての対称式から説明します。

例えば、

 \( a^3+b^3 は、\\
 \color{red}{a と b を入れ替えても}\\
 b^3\,+\,a^3\,=\,a^3\,+\,b^3 \)

と元の式と同じになります。
このように、
「二つの文字を入れ替えても、元の式と同じになる式」
のことを『対称式』と言います。

この「対称式」は、二つの文字の場合、

 \(\color{red}{ a+b\,,\,ab}\)

という二つの「基本対称式」と呼ばれる式で必ず表すことが出来ます。
例えば

 \( a^2+b^2=(a+b)^2-2ab\)
 \( a^3+b^3=(a+b)^3-3ab(a+b)\)

などのようにです。
上に出てきている

 \( x^4+y^4\\ \\
=(x^2+y^2)^2-2x^2y^2\\ \\
=\{(x+y)^2-2xy\}^2-2(xy)^2\)

もそうですね。
この対称式を見たときは、基本対称式を先ず計算しておくと後が楽になることが本当に多いので、
誘導に従わなくても、無条件に基本対称式の値は計算しておくと良いです。

形を見て気がついた人もいると思いますが、
 \( 2次方程式  ax^2+bx+c=0 における\color{red}{ 解と係数の関係}\)
で出てくる

 \( \color{red}{ \begin{cases}
\displaystyle \hspace{7pt} \color{red}{ \alpha+\beta=-\frac{b}{a}} \\
\displaystyle \hspace{7pt} \color{red}{ \alpha \beta=\frac{c}{a}} \\
\end{cases}}\)

解と係数の関係もそのまま基本対称式として使うこともありますよ。

文字3つの対称式

もう一つ説明を入れておきましょう。
文字が三つのときです。
例えば、

 \( a^3+b^3+c^3\)

という式は、どの二つの文字を入れ替えても元の式と同じになります。
(入れ替えるのは二つ)
これも文字が三つの場合の対称式です。

この文字三つの場合の基本対称式は、

 \(\color{red}{ a+b+c}\)
 \(\color{red}{ ab+bc+ca}\)
 \(\color{red}{ abc}\)

の三つです。
例えば、

 \( a^2+b^2+c^2\\ \\
=(a+b+c)^2-2(ab+bc+ca)\)

などもそうです。
これは、

 \( (a+b+c)^2=a^2+b^2+c^2+2(ab+bc+ca)\)

から簡単に導けます。

他にも、

 \( a^3+b^3+c^3\)

なども対称式ですが、

 \( a^3+b^3+c^3-3abc\\ \\
=(a+b+c)(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca)\)

の因数分解公式も全て出てくるのはよく見ると基本対称式に変形できますよね。

結構知っておくと便利なんですよ。

 \( (a+b)(b+c)(c+a)\)

は対称式です。

対称式を利用する例題

では問題です。

例題
 \(  a+b+c=3 , ab+bc+ca=1 , abc=-1 のとき、\\
  (a+b)(b+c)(c+a) の値は?\)

 \( (a+b)(b+c)(c+a)\\ \\
=(b+c)\{a^2+(b+c)a+bc\}\\ \\
=(b+c)a^2+(b+c)^2a+bc(b+c)\underline{+abc-abc}\\ \\
=(b+c)a^2+\{(b+c)^2+bc\}a+(b+c)bc-abc\\ \\
=\{(b+c)a+bc\}\{a+(b+c)\}-abc\\ \\
=(a+b+c)(ab+bc+ca)-abc\)

と展開、タスキガケ因数分解を使って変形して、
数値代入して求めるというのが普通だと思います。
これだけでも十分理解は深いと思います。
式の処理、因数分解がきっちり出来ていますのでかなり力はあるといえるでしょう。

もう一つ普通だと思える解法を示しておきましょうか?

 \( (a+b)(b+c)(c+a)\)

を展開すると、

 \( (a+b)(b+c)(c+a)\\ \\
=(b+c)(a+b)(a+c)\\ \\
=(b+c)\{a^2+(b+c)a+bc\}\\ \\
=(b+c)a^2+(b+c)^2a+bc(b+c)\\ \\
=(b+c)a^2+(b^2+2bc+c^2)a+b^2c+bc^2\\ \\
=(b+c)a^2+ab^2+2abc+ac^2+b^2c+bc^2\\ \\
=(b+c)a^2+(c+a)b^2+(a+b)c^2+2abc\)

となります。

 \(ここで、a+b+c=3 を利用すると、\\
 \color{red}{\hspace{7pt} a+b=3-c}\\
 \color{red}{\hspace{7pt} b+c=3-a}\\
 \color{red}{\hspace{7pt} c+a=3-b}\)
なので
 \((a+b)(b+c)(c+a)\\
=(\color{red}{ b+c})a^2+(\color{red}{ c+a})b^2+(\color{red}{ a+b})c^2+2abc\\
=(\color{red}{ 3-a})a^2+(\color{red}{ 3-b})b^2+(\color{red}{ 3-c})c^2+2abc\\
=3a^2-a^3+3b^2-b^3+3c^2-c^3+2abc\\
=3(a^2+b^2+c^2)-(a^3+b^3+c^3)+2abc ・・・②\)

となるので、ここで、

 \( a^3+b^3+c^3-3abc\\ \\
=(a+b+c)(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca)\\ \\
\Leftrightarrow \\ \\
\hspace{7pt}a^3+b^3+c^3\\ \\
=(a+b+c)(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca)+3abc\)

を②に代入しても求まります。

実際にやって見ないとちんぷんかんぷんでしょう?
やって見てください。

しかし、です。
対称式だから基本対称式で表せるはず
という根拠のもとで、
 \(  (a+b)(b+c)(c+a)\\ \\
=(基本対称式)×(基本対称式)+(基本対称式)\)

となると推測して

 \( (a+b)(b+c)(c+a)\\ \\
=(a+b+c)(ab+bc+ca)+A\\ \\
=(b+c)a^2\,+\,(c+a)b^2\,+\,(a+b)c^2\,+\,3abc\,+\,A\)
(Aも基本対称式)

と上の展開した式①とを比べて
 \(  A\,=-abc とすれば、\\
  (a+b)(b+c)(c+a)\\
=(a+b+c)(ab+bc+ca)-abc\)

と変形できて、対称式と基本対称式がものすごく便利に感じるんだけど、
使えませんかね?

対称式、基本対称式と解と係数の関係も多いに関係しています。

⇒ 解と係数の関係 2次方程式と3次方程式

2次方程式も3次方程式も、基本対称式の形をしていますので確認しておいて下さいね。
関係式は覚えておけば使えます。

2つを関係づけておけば忘れにくいですよ。