1の立方根(3乗根)のうち虚数解はω(オメガ)というギリシャ文字で表されることが多いです。
問題でωを見たら「1の虚数立方根」だと思って良いくらいですよ。
オメガのの持つ性質はいくつかありますが、利用する関係式は少しだけですので使い方を覚えてしまってください。
1の立方根(3乗根)の求め方
立方根とは3乗根のことで、3乗したらその数になる元の数のことです。
方程式で見れば
\(x^3=1\) を満たす \( x\) が1の立方根です。
\( x^3=1 \hspace{10pt} \Leftrightarrow \hspace{10pt} (x-1)(x^2+x+1)=0\)
と因数分解できるから方程式を解いて
\(\displaystyle x=1 , \frac{-1\pm \sqrt{3}i}{2}\)
このうち1以外の虚数解を1の虚数立方根といい、そのどちらか1つを ω(オメガ)と表すことにします。
\(\displaystyle \omega=\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}\) または \(\displaystyle \omega=\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}\)
ですがここでは具体的な値ではなく関係式が重要になります。
1の虚数立方根ω(オメガ)の関係式
ω は \( x^2+x+1=0\) の解なので
\( \color{red}{\omega^2+\omega+1=0}\) ・・・①
が成り立ちます。
また、3乗すれば1になる数なので
\( \color{red}{\omega^3=1}\) ・・・②
でもあります。
この2つの関係式を使えばおおよその問題はクリアーできます。
オメガの関係式を使った練習問題
方程式 \(x^3-1=0\) の虚数解の1つを \( \omega\) とするとき
\( 3\omega +2\omega^2+\omega^3+2\omega^4+3\omega^5\)
の値を求めよ。
これは1の立方根の問題です。
分かってしまえばなんてことはないのですが、「虚数解」などの言葉に惑わされないようにしましょう。
単なるωの計算問題です。
ωに関する関係式は
\( \omega^2+\omega+1=0\) ・・・①
\( \omega^3=1\) ・・・②
です。
この2つで与式を変形しましょう。
先ずは②を使って次数を下げましょう。
\( 3\omega +2\omega^2+\omega^3+2\omega^4+3\omega^5\\ \\
=3\omega +2\omega^2+(\color{red}{\omega^3})+2\omega \cdot (\color{red}{\omega^3})+3\omega^2\cdot (\color{red}{\omega^3})\\ \\
=3\omega +2\omega^2+1+2\omega+3\omega^2\\ \\
=5\omega^2+5\omega +1\\ \\
=5(\omega^2+\omega)+1 \)
ここで①の \(\omega^2+\omega+1=0\) から
\( \omega^2+\omega=-1\)
と変形できるので
\( 5(\omega^2+\omega)+1=5(-1)+1=\underline{-4}\)
与式の係数に着目して、
\( 3\omega +2\omega^2+\omega^3+2\omega^4+3\omega^5\\ \\
=3(\omega +\omega^5)+2(\omega^2+\omega^4)+\omega^3\\ \\
=3(\omega +\omega^2)+2(\omega^2+\omega)+1\\ \\
=3(-1)+2(-1)+1=\underline{-4}\)
としても同じですね。
このように関係式を利用することで処理できるのです。
\( \omega \) は実際求めると、
\(\displaystyle \omega =\frac{-1\pm \sqrt{3}i}{2}\)
のどちらかになりますが、これらの共役な複素数は平方すると入れ替わります。
例えば、
\(\displaystyle \omega =\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}\)
とすると
\(\displaystyle \omega^2=\left(\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}\right)^2
=\frac{-2-2\sqrt{3}i}{4}
=\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}\)
となります。
(逆にした場合も成り立ちますので実際に計算して確認してみてください。)
つまり、1の立方根は
「1」と「 \(\color{red}{\omega }\) 」と「 \( \color{red}{\omega^2}\) 」
の3つということなのですが、解の数値を具体的に使う算数のような計算はほとんどありません。
何より、\( \omega^3=1\) なので \( \omega \) に関しては、
何次式であろうと2次以下に出来るというのは忘れないでください。
複素数はすべての数の集まりです。
⇒ 複素数と共役複素数の計算公式と相等条件を利用する問題の解き方
基本的な定義、定理はおさえておきましょう。