漸化式で数列anと初項から第n項までの和Snが組み合わされた漸化式の解き方です。
数列の和Snを見たらやることはだいたい決まっているのですが、漸化式となると少し紛らわしいところがあるので求め方を説明しておきます。
このタイプはほとんどの問題で誘導がありませんので差がつくかもしれません。
数列の和Snがある漸化式は誘導無しで一般項を求める
このタイプの問題には誘導が無い場合が多いですが、
昔から良くでているタイプなので演習量に差が出るといっても良いでしょう。
「あ、見たことある」
「だけど、どうするんだっけ?」
じゃなくて、
「これはあれだ!」と即解答に入れるくらいになっておくと良いですね。
ただ、簡単とも言えない問題ではあります。
数列 \(\{a_n\}\) の初項から第 \( n\) 項までの和を \( S_n\) とおくとき
\(\hspace{10pt} a_1=2\\
\hspace{10pt}a_{n+1}=S_n+n^2-n+2\hspace{7pt}(n\,≧\,1)\)
である。
数列 \(\{a_n\}\) の一般項を求めよ。
数列の和\(\,S_n\,\)は
\(\begin{eqnarray}
S_n&=&\color{red}{a_1+a_2+a_3+\cdots +a_{n-1}}+a_n\\
S_{n-1}&=&\color{red}{a_1+a_2+a_3+\cdots +a_{n-1}}\end{eqnarray}\)
なので辺々引くと
\( \color{red}{S_n-S_{n-1}=a_n}\)
となることは覚えているでしょうか?
これを利用します。
高校の数学では余り見かけませんが、
\(\,S_0=0\,\)とすると場合分けがいらないのですが、場合分けはやっておいた方が良いですよね。
\(\,n=0\,\)から定義できる場合は使って良いんですよ。
漸化式
\(\hspace{10pt} a_{n+1}=S_n+n^2-n+2\)
の添え字をずらすと \( n≧ 2\) において
\(\hspace{10pt} a_n=S_{n-1}+(n-1)^2-(n-1)+2\)
これらの両辺の差を取ると
\( a_{n+1}-a_n=S_n-S_{n-1}+(n^2-n+2)-\{(n-1)^2-(n-1)+2\}\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{5pt} a_{n+1}-a_n=S_n-S_{n-1}+(n^2-n+2)-(n^2-3n+4)\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{5pt} a_{n+1}-a_n=\color{red}{S_n-S_{n-1}}+2n-2\)
ここで\(\,\color{red}{S_n-S_{n-1}=a_n}\,\)なので
\(\begin{eqnarray} a_{n+1}-a_n&=&\underline{\color{red}{S_n-S_{n-1}}}+2n-2\\
a_{n+1}-a_n&=&\underline{\color{red}{a_n}}+2n-2\\
a_{n+1}&=&2a_n+2n-2
\end{eqnarray}\)
となります。
いつもなら定数である部分がnの1次式の場合
問題はこの漸化式
\( a_{n+1}=2a_n+2n-2\) ・・・①
をどう処理するかです。
数列以外の部分が定数ではなくて\(\,n\,\)の1次関数で残っています。
指数のときに何をやったか覚えてますか?
⇒ 2項間漸化式だけど定数部分が指数関数になっているタイプ(例題3)
同じタイプの別解もあります。
⇒ 定数部分が指数関数になっている漸化式のタイプ(例題3の別解)
同じことをすれば良いんですよ。
ここまでで \( n≧ 1\) の成立を示しておきます。
\( a_{n+1}=S_n+n^2-n+2\hspace{7pt},\hspace{7pt}a_1=2\)
なので、\(\,n=1\,\)とすると
\(\hspace{10pt} a_{n+1}=S_n+n^2-n+2\)
から
\(\begin{eqnarray}
a_2&=&S_1+1-1+2\\
&=&a_1+2\\
&=&4
\end{eqnarray}\)
逆に先程出てきた漸化式
\( a_{n+1}=2a_n+2n-2\)
から
\(\begin{eqnarray}
a_2&=&2a_1+2-2\\
&=&2\times 2\\
&=&4
\end{eqnarray}\)
一致するので \( n≧ 1\) で成り立つことになりますね。
さて、漸化式
\(\hspace{10pt} a_{n+1}=2a_n+2n-2\)
を解いて行きます。
指数関数を持っていたときと同じように
ズラして、引いて階差をつくりましょう。
\(a_{n+1}=2a_n+2n-2\)
\(\hspace{10pt}a_n=2a_{n-1}+2(n-1)-2\)
これらを辺ごとに引くと
\( a_{n+1}-a_n=2(a_n-a_{n-1})+2\)
1次関数がなくなって定数になりました。
ここで\(\,\color{blue}{b_n}=\color{blue}{a_{n+1}-a_n}\,\)とおくと
\( \color{blue}{a_{n+1}-a_n}=2(\color{red}{a_n-a_{n-1}})+2\\ \\
\hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} \color{blue}{b_n}=2\,\color{red}{b_{n-1}}+2\)
もうこのタイプには慣れたでしょう。
\(\hspace{10pt} b_n=2b_{n-1}+2\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{5pt} b_n+2\,=2\,(b_{n-1}+2)\)
この数列 \(\{b_n+2\}\) は等比数列なので
\(\begin{eqnarray}
b_1&=&a_2-a_1\\
&=&4-2\,=2\end{eqnarray}\)
であることから
\(\begin{eqnarray}
b_n+2&=&(b_1+2)\cdot 2^{n-1}\\
&=&4\cdot 2^{n-1}\\
&=&2^{n+1}\\
b_n&=&2^{n+1}-2
\end{eqnarray}\)
数列\(\,\{b_n\}\,\)は数列\(\,\{a_n\}\,\)の階差なので
\(\hspace{10pt} \displaystyle a_n=a_1+\sum_{k=1}^{n-1} b_k\hspace{7pt}(n\,≧\, 2)\)
よって
\(\begin{eqnarray}\displaystyle
a_n&=&a_1+\sum_{k=1}^{n-1}(2^{k+1}-2)\\
&=&2+\sum_{k=1}^{n-1}\,4\cdot 2^{k-1}-\sum_{k=1}^{n-1}\,2\\
&=&2+\displaystyle \frac{4(2^{n-1}-1)}{2-1}-2(n-1)\\
&=&2+4\cdot 2^{n-1}-4-2n+2\\
&=&2^{n+1}-2n
\end{eqnarray}\)
これは \( n=1\) のときも成り立つ。
よって
\( a_n=2^{n+1}-2n\hspace{7pt}(n\,≧\, 1)\)
等比数列の和の部分に気をつけて下さいね。
この問題に対する解法はこれで十分ですが、
上に出てきた漸化式①から直接一般項を求める方法を別解として説明しておきます。
⇒ 漸化式にnの1次関数が含まれるときの解き方と別解(例題5-②)
例題としても追加しておくことにします。