累乗根と指数の拡張について定義、定理を指数関数に入る前の段階までを部分的にまとめておきます。
指数が整数(負の数まで)の場合ということです。
具体的ではない部分があるのでわかりにくいですが、
計算問題が処理できればいい部分でもあるので練習問題を少しやっておきましょう。

指数関数を扱う場合、指数は実数全体なのに何故限定するかというと、底の範囲が変わるからです。
この底の条件を限定できずに指数関数が分からなくなっている高校生が多いので、
底に限定がない場合は計算処理を目的とすれば良いということをお伝えします。

指数関数では指数は実数全体で扱うけども底が正の数に限定される、ということです。
それが分かっていればこのページは読まなくてもいいです。笑

理論的にはややこしいところですが、簡単にまとめて見ます。

累乗根

累乗根を先に説明して定理を大きくまとまることにします。

\(\,a\,\)という数が与えられたとき、\(\,2\,\)乗して\(\,a\,\)となる数は\(\,a\,\)の平方根(\(\,2\,\)乗根)です。
例えば、\(\,4\,\)の平方根は\(\,\pm 2\,\)、\(\,10\,\)の平方根は\(\,\pm \sqrt{10}\,\)だということは中学校でも学びました。

この\(\,n\,\)を一般的にします。

累乗根の定義

\(\color{red}{\fbox{ 累乗根の定義 }}\)

 \(\,n\,\)を自然数とするとき、
 \(\,n\,\)乗して\(\,a\,\)となる数を\(\,a\,\)の\(\,n\,\)乗根という。

\(\,2\,\)乗根は平方根、\(\,3\,\)乗根は立方根とも呼びます。
いろいろな自然数\(\,n\,\)についての\(\,n\,\)乗根をまとめて「累乗根」といいます。

「\(\,27\,\)の\(\,3\,\)乗根は?」と聞かれた場合、
 \(\hspace{10pt}x^3=27\)
から
 \(\hspace{10pt}x^3-27=(x-3)(x^2+3x-9)=0\)
なのでこの方程式を解くと、
 実数に限れば\(\,x=3\,\)のみ
 複素数の範囲までなら\(\displaystyle \,x=3\,,\,\frac{-3\pm 3\sqrt{3}\,i}{2}\,\)
となりますが、問題になにも書いていなければ、
 累乗根は実数の範囲
で答えてください。

方程式を解く場合も問題に合わせて複素数の範囲までなのか、
実数の範囲かを見ておく必要がありますが、
累乗根においては何も書いていなければ実数の範囲で構いません。

0乗の定義と負の指数の定義

次は、少し範囲を広げた定義です。

\(\color{red}{\fbox{ 0乗の定義 }}\)

 \(\,a^0=1\,\)とする。

\(\color{red}{\fbox{ 負の指数の定義 }}\)

 \(\displaystyle \,a^{-n}=\frac{1}{a^n}\,\)とする。(\(\,n\,\)は自然数)

このことから特に、
 \(\hspace{10pt}\displaystyle a^{-1}=\frac{1}{a}\)
は忘れないこと。

累乗根の個数

順序が逆になる所があってわかりにくいかもしれませんので読み飛ばしても良いですが、
「指数が奇数のときの累乗根の個数」は目を通しておいてください。

正の数の累乗根

\(\,n\,\)を自然数として\(\,n\,\)乗して正の数\(\,a\,\)になる数\(\,x\,\)は1つだけ存在します。
これを\(\,a\,\)の正の\(\,n\,\)乗根といい、\(\,\sqrt[n]{a}\,\)と表します。

 \(x ^n=a \,,\,x>0\)
のとき
 \(\,x=\sqrt[n]{a}\,\)

例えば、
\(\,4^2=16\,\)なので
 \(\,16\,\)の正の\(\,2\,\)乗根は\(\,\sqrt[2]{16}=4\,\)
\(\,2^4=16\,\)なので
 \(\,16\,\)の正の\(\,4\,\)乗根は\(\,\sqrt[4]{16}=2\,\)
です。


普段使っている\(\,\sqrt{a}\,\)は\(\,\sqrt[\color{red}{2}]{a}\,\)の\(\,\color{red}{2}\,\)が省略された数と同じです。

この場合に\(\,\sqrt[n]{a}\,\)が1つしか存在しない理由は背理法で示すことはできますが、
「1つしかない。」と覚えておけば良いですよ。笑

\(\,n\,\)が自然数のとき、\(\,x^n=0\,\)を満たす\(\,x\,\)は\(\,0\,\)だけなので、
 \(\,\sqrt[n]{0}=0\,\)
です。

いろいろな\(\,n\,\)に対する\(\,n\,\)乗根をまとめて「累乗根」といいます。

一般的な累乗根

今度は正の\(\,n\,\)乗根だけではなく、実数の範囲までの\(\,n\,\)乗根についてまとめておきます。
わかりにくい場合は飛ばしてもかまいません。
その場合は指数のあつかいに少し慣れてから見直しておくと良いです。

\(\,a\,\)を与えあられた数、\(\,n\,\)を与えられた自然数とするとき、
 \(\,x^n=a\,\)
を満たす\(\,x\,\)を\(\,a\,\)の\(\,n\,\)乗根というのは今までと同じです。

ただ、正の数に限られてもいませんので\(\,n\,\)乗根が1つとは限りません。
例えば、\(\,x^4=16\,\)を満たす\(\,x\,\)は、
 実数の範囲では\(\,x=2\,,\,-2\,\)の\(\,2\,\)個
 複素数の範囲では\(\,x=2\,,\,-2\,,\,2i\,,\,-2i\,\)の\(\,4\,\)個
存在します。
(正の\(\,n\,\)乗根に限れば1つしかないことは確認しておきましょう。)

一般に\(\,a\neq 0\,\)なら\(\,a\,\)の\(\,n\,\)乗根は複素数の範囲には\(\,n\,\)個存在します。
しかし、実数の範囲に限ると\(\,n\,\)が奇数の場合偶数の場合で違ってきます。

指数が奇数のときの累乗根の個数

\(\,n\,\)が奇数のとき実数\(\,a\,\)の符号に関係なく\(\,a\,\)の実数の\(\,n\,\)乗根は、
\(\,a\,\)と同じ符号の1つだけあります。


 \(\,\sqrt[3]{27\,}=3\,\) , \(\,\sqrt[3]{-27\,}=-3\,\)
 \(\,\sqrt[3]{125\,}=5\,\) , \(\,\sqrt[3]{-125\,}=-5\,\)
 \(\,\sqrt[3]{1000\,}=10\,\) , \(\,\sqrt[3]{-1000\,}=-10\,\)
 \(\,\sqrt[5]{32\,}=2\,\) , \(\,\sqrt[5]{-32\,}=-2\,\)

\(\,a\,\)が負であっても\(\,n\,\)が奇数の場合は\(\,\sqrt[n]{a}\,\)が定義されます。
一般的に表すと、

 \(\,a<0\,\)かつ\(\,n\,\)が奇数に対し、\(\,x\,\)を実数として
 \(\,x^n=a\,\) ⇔ \(\,x=\sqrt[n]{a}\,\)

わかりにくいでしょう?
定義に戻って見て欲しい。
 \(\overbrace{x\,\times\,x\,\times\,\cdots \,\times\,x\,\times x}^{n}=x^n=a\)
これを満たす\(\,x\,\)が\(\,a\,\)の\(\,n\,\)乗根\(\,\sqrt[n]{a}\,\)です。

 \(\overbrace{(-2)\,\times\,(-2)\,\times\,\cdots \,\times\,(-2)}^{n}=(-2)^n=a\)
において、
 \(\,n\,\)が奇数のときは\(\,a\,<\,0\,\)となり、
 \(\,n\,\)が偶数のときは\(\,a\,>\,0\,\)になる、
ので
 「\(\,n\,\)が偶数の場合は\(\,a\,<\,0\,\)の\(\,n\,\)乗根は実数の範囲に存在しない。」

計算問題に合わせていうと、
 \(\hspace{10pt}\sqrt[3]{-27}\,,\,\sqrt[3]{-125}\,,\,\sqrt[5]{-32}\)
は出てくるけど、
 \(\hspace{10pt}\sqrt[2]{-27}\,,\,\sqrt[4]{-125}\,,\,\sqrt[2]{-32}\)
といった累乗根が混じる計算は出てこないということです。

実は、指数「関数」を見るときは底は正の数だけなので、
この「底が負の数」であるときだけを別で見ておきたかったのです。

教科書では底が負の計算はほとんどなくなっています。
ただ、定義に従えば求められるものでもあるので説明しておきました。

\(\color{black}{\fbox{ 例題1 }}\) 次の式を計算せよ。
 \(\hspace{10pt}\sqrt{16}\times \sqrt[5]{32}\div \sqrt[3]{-\sqrt{64}}\)

 \(\begin{eqnarray}\displaystyle
(与式)&=&\color{blue}{\sqrt{4^2}\times \sqrt[5]{2^5}\div \sqrt[3]{-8}}\\
&=&\color{blue}{4\times 2\div (-2)}\\
&=&\underline{ \color{blue}{-4} }
\end{eqnarray}\)

一般的に、\(\,p\,>\,0\,\)で\(\,n\,\)が奇数のとき
 \(\hspace{10pt}\color{red}{\sqrt[n]{-p\,}=-\sqrt[n]{p\,}}\)
が成り立つのです。

 \(\hspace{10pt}\sqrt[3]{-5\,}=-\sqrt[3]{5}\)
 \(\hspace{10pt}\sqrt[3]{-8\,}=-\sqrt[3]{8}=-2\)

忘れても指数関数、対数関数に大きな問題は起こりません。笑
が、\(\,n\,\)が奇数の場合だけ底の符号に関係なく実数の\(\,n\,\)乗根が存在する、ということは頭の隅にでも置いておいてください。

有理数、実数までの指数の拡張ができた後にはもう少しややこしい問題もあります。
ちょっとした応用です。

\(\color{black}{\fbox{ 例題2 }}\) 次の計算をせよ。
 \(\hspace{10pt}\sqrt[3]{\sqrt{125}}\times \sqrt[3]{-25}\div \sqrt[6]{5}\)

 \(\begin{eqnarray}\displaystyle
(与式)&=&\sqrt[3]{\sqrt{125}}\times (\color{red}{-\sqrt[3]{25}})\div \sqrt[6]{5}\\
&=&-\sqrt[3]{5^{\frac{3}{2}}}\times \sqrt[3]{5^2}\div 5^{\frac{1}{6}}\\
&=&-5^{\frac{1}{2}}\times 5^{\frac{2}{3}}\times 5^{-\frac{1}{6}}\\
&=&-5^{\frac{1}{2}+\frac{2}{3}-\frac{1}{6}}\\
&=&-5^{\frac{3+4-1}{6}}\\
&=&\underline{ -5 }
\end{eqnarray}\)

\(\color{black}{\fbox{ 例題3 }}\)次を計算せよ。
 \(\hspace{10pt}\displaystyle \sqrt[3]{54}+\frac{3}{2}\sqrt[6]{4}+\sqrt[3]{-\frac{1}{4}}\)

 \(\begin{eqnarray}\displaystyle
(与式)&=&\sqrt[3]{2\cdot3^3}+\frac{3}{2}\sqrt[6]{2^2}\color{red}{-\sqrt[3]{\frac{1}{4}}}\\
&=&3\sqrt[3]{2}+\frac{3}{2}\cdot 2^{\frac{2}{6}}-\sqrt[3]{2^{-2}}\\
&=&3\cdot 2^{\frac{1}{3}}+\frac{3}{2}\cdot 2^{\frac{1}{3}}-\color{blue}{2^{-\frac{2}{3}}}\\
&=&3\cdot 2^{\frac{1}{3}}+\frac{3}{2}\cdot 2^{\frac{1}{3}}-\color{blue}{2^{-1+\frac{1}{3}}}\\
&=&3\cdot 2^{\frac{1}{3}}+\frac{3}{2}\cdot 2^{\frac{1}{3}}-\color{blue}{2^{-1}\times 2^{\frac{1}{3}}}\\
&=&3\cdot 2^{\frac{1}{3}}+\frac{3}{2}\cdot 2^{\frac{1}{3}}-\color{blue}{\frac{1}{2}\cdot 2^{\frac{1}{3}}}\\
&=&\left(3+\frac{3}{2}-\frac{1}{2}\right)\cdot 2^{\frac{1}{3}}\\
&=&\underline{ 4\cdot 2^{\frac{1}{3}} } または \underline{ 4\sqrt[3]{2} }
\end{eqnarray}\)

青字の部分の変形が思いつきにくいですが、
底が同じなので指数を合わせに行くことを考えると自然と合うようにできています。笑

 \(\begin{eqnarray}\displaystyle
\sqrt[3]{\frac{1}{4}}&=&\sqrt[3]{\frac{1}{2^2}}\\
&=&\sqrt[3]{\frac{\color{red}{2}}{\color{blue}{2^3}}}=\frac{\sqrt[3]{\color{red}{2}}}{\sqrt[3]{\color{blue}{2^3}}}\\
&=&\frac{\sqrt[3]{2}}{2}
\end{eqnarray}\)

のように分母の\(\,3\,\)乗根を外す工夫もできますが、
「根号は使わない」、と一途(頑固?)に進めてもなんとかなります。笑笑

ピンとこない人は指数関数、対数関数全体を見通してからやってみてください。

⇒ 指数関数と対数関数の要点

底を(できるだけ)統一して、根号は使わない、という方針を変えなければ大丈夫です。
根号のまま計算できても別に良いですけどね。笑

指数が偶数のときの累乗根の個数

\(\,n\,\)が偶数のとき
 \(\,a>0\,\)のとき、\(\,a\,\)の実数の\(\,n\,\)乗根は符号の異なる2つ。
 (正の\(\,n\,\)乗根は\(\,\sqrt[n]{a}\,\)、負の\(\,n\,\)乗根は\(\,-\sqrt[n]{a}\,\)と表す。)
 \(\,a<0\,\)のとき、\(\,a\,\)の実数の\(\,n\,\)乗根は存在しない。


 \(\,4\,\)の\(\,2\,\)乗根は\(\,x^2=4\,\)から
 \(\hspace{10pt}\,x=\pm\,2\,\)の\(\,2\,\)個。
 \(\,16\,\)の\(\,4\,\)乗根は\(x^4=16\,\)から
 \(\hspace{10pt}(x-2)(x+2)(x^2+4)=0\)
なので実数では\(\,x=2\,,\,-2\)の\(\,2\,\)個。
 \(\,-4\,\)の\(\,2\,\)乗根は(\(\,x^2=-4\,\)を満たす実数は)\(\,0\,\)個(なし)。

これは説明しなくても良いでしょう。

指数の拡張

ここでは底に限定がない範囲での、指数が負の数までの指数法則の拡張です。
中学の延長になるだけなのでいくつか定義を加えて、定理をまとめて終わりにします。

\(\color{red}{\fbox{ 自然数指数の指数法則 }}\)

 \(\,m\,,\,n\,\)を自然数とする。
 \(\hspace{10pt}a^m\times a^n=a^{m+n}\)
 \(\hspace{10pt}(a^m)^n=a^{mn}\)
 \(\hspace{10pt}(ab)^n=a^nb^n\)

\(\color{red}{\fbox{ 0乗の定義と負の指数の定義 }}\)

 \(\displaystyle \,\color{red}{a^0=1\,,\,a^{-n}=\frac{1}{a^n}}\,\)
 (\(\,n\,\)は正の整数とする。)

この定義を利用すると割り算の指数法則が単純になります。

\(\color{red}{\fbox{ 割り算の指数法則 }}\)

 \(\,m\,,\,n\,\)を自然数とする。
 \(\hspace{10pt}a^m\div a^n=a^{m-n}\)

(\(\,m\,,\,n\,\)の大小で場合分けが必要無くなります。)

割り算は逆数の掛け算なので

 \(\begin{eqnarray}\displaystyle
a^m\div a^n&=&\frac{a^m}{a^n}\\
&=&a^m\times \frac{1}{a^n}\\
&=&a^m\times a^{-n}\\
&=&a^{m-n}
\end{eqnarray}\)


ここまでの\(\,a\,\)において数字とみるときは\(\,a≠0\,\)としなくてはなりません。
(\(0\)で割ることはできない。)

\(\,m\,,\,n\,\)の大小に関係ないということは、
負の数においても指数法則が成り立つということです。

つまり、整数において指数法則は成り立つということになります。

\(\color{red}{\fbox{ 整数指数の指数法則 }}\)

 \(\,m\,,\,n\,\)を整数とするとき
 \(\hspace{10pt}\color{red}{a^m\times a^n=a^{m+n}}\)
 \(\hspace{10pt}\color{red}{(a^m)^n=a^{mn}}\)
 \(\hspace{10pt}\color{red}{(ab)^n=a^nb^n}\)

証明には\(\,m\,,\,n\,\)の場合分けをして調べる必要がありますが、
整数に指数が拡張できるということがわかれば良いです。

そして、この指数法則は底を正に限れば有理数どころか実数にまで拡張できます。 

⇒ 指数関数と対数関数の要点

底が正の場合の指数の拡張は要点で確認してください。