センター試験の数学で時間が足りないという人が多いですよね。確かに数学ⅡBでは計算量が多いものもありますので理由が量的なこともあるでしょう。しかし、それだけでもなさそうです。それは、「スピード」と「勉強方法」についてです。
ちょっとした計算例を最後に示しておくので自分がやっている遅い計算方法、少し変えて見ると良いかもしれません。
数学の問題を解くスピード
数年前になりますが夏休み、特別に個別指導をした中学生がいるんです。
某有名私立に通う中学生2年生です。
彼は、普段は寮で生活しています。
夏休みに帰って来るということで、お母様から先に相談を受けていました。
「数学で伸び悩んでいます。見てもらえませんか?」
という相談内容でした。
あちこちの塾に連絡したらしいですよ。
でも、学校名を言ったらことごとく「お断り」されたらしいです。
(地元の塾では太刀打ちできない高校なのでしょう。
たぶん、短期の生徒は普通の塾では利益にならないからでは?)
最後に、どこから聞いたか、看板も広告も出していない私のところへ、、、。
で、いつものごとくいきなりは授業はしません。
最初は面談からです。
三人で話しをすること何時間?覚えてないや。
内容は覚えてますよ。
それでですね、
「夏休みに学校から出ている宿題と予習を一緒にやって欲しい。」
ということだったのですが、
「ちょっと待って、宿題ってどんなん?」
て聞くと、ちゃんと持ってきてました。
先ずは宿題の一覧表を見せてくれました。
その中の一つの問題集名を見た瞬間、私からの質問です。
「中、見た?」
「いえ、まだ見てません。渡されたばかりですから。」
お母様の「のんびりしすぎ」という判断は間違っていなかった。
「何?俺とこれをやりたいの?」
「はい。」
「ふ~ん、じゃあちょっと中見てみる?」
中身を見せて、質と量を確認させて、その問題集がどんなものなのかを説明して、
「自分で泣きべそかくまでやれるだけやっておいで。」
と、その日は帰しました。
めんどくさいと思ったわけではありません。
その前に、「志望は?」と聞いていたのです。
親子して答えないけど、顔に書いてある。
「その後ろにある青い本の大学か。」
お母様も正直です。
「もう用意してある。(驚)」
だって。(そんな訳ない。私は占い師ではありませんから。)
大学別の本は結構あるけど、たまたまそのときは本棚ではなくカラーボックスにポツンと立っていた。
『東京大学』の青本一冊。
どういうことか分かりにくいだろうけど、先ずはどれだけの覚悟が必要か知ってもらうために「自分でやれ!」となったのです。
スピードの違いって何?
まあ、Bランクの問題集4章分ですからね。
(Bランクとは全国トップクラスの私立高校入試で満点狙えるレベルです。)
しかも2年生に。
数週間後の月末にくれば、2,3日あれば何とかなるだろうと考えていたけど、
(2,3日というのは「一日中が」ということですよ。)
1週間経たない内に電話がかかって来ました。
「一応やったんですけど、分からないところがあるので」
もちろん、学校の宿題なので、解答を見て理解できるところは赤ペンでノートに写してました。
解答を見ても理解できない問題がいくつもあるということ。
ちなみに、高校生でも解けない人たくさんいる問題レベルです。
「もうやったん?他の宿題も?」
ちょっと驚いたなあ。
「じゃあ」、ということで授業のない日に来てもらって、
様子を見ていたのですが、すぐに納得がいきました。
鉛筆を走らせるスピードが半端じゃない。
中学受験の時にかなりの量をこなしていたようです。
あのですね。
ノートを丁寧にとるとか、ノートの取り方とかっていろいろいうでしょう。
たまに勉強法なんかにもある。
確かにきれいなノートは使い道あるのかもしれない。
これは好みで良いのかな?
ただ、数学に限っていえば、きれいなノートは必要ない。
のではないかなあ、ってずっと思ってるんです。
う~ん、私の字が下手くそで、ノートが汚いからとかということではありませんよ。
今まで数学ができる生徒の数字や字を書くスピードは、みな速かった。
ということです。
全国一位になった生徒の字は見事に汚かった。
数学の偏差値90くらいある生徒も読めないほど汚かった。
いや、ごめん。きれいではなかった。笑
理由いる?
計算だけに限ってお話ししましょうか?
君が計算するとき、数字を書くスピードと、計算処理している頭のスピードとどっちが早い?
もし、「書くスピード」といっている人は、暗算のしすぎです。
私の目の前で数学の問題解いたことのある人は、一度はいわれているはずです。
「二段階以上の暗算はしないように!」
って。
過度に暗算するより鉛筆動かした方が早いんですよ結果的に。
字を書くスピードの速さはしかたないですけど、暗算するより確実だしね。
みんなが同じ程度の計算力を持っているわけではないので、
どういう計算は暗算しないか、
とは決めることはできません。
しかし、考えるより鉛筆動かせて計算した方が速い。早い。確実。
だって、だって、だって、だって、
次から次から頭の中に解法と、数値が出てきて書き留めたいのに、鉛筆ゆっくり動かしてたら、、、、。
間に合わないもん。
数学に必要なスピードとは?
受験数学はスピードを競うものではありません。
しかし、考える時間を作るスピードは必要なんです。
センターで時間が足りない?
難しいのではなくて?
鉛筆動かし始めるのが遅いんですよ!!!
というか、自分の計算能力過信しすぎでしょう。
あなたが思っているほどあなたの計算スピードは速くないですよ。www
この鉛筆動かすスピードは速くすることはできます。
少し大きめに書くことと、暗算をしすぎない事です。
意識しないとこれは変えられません。
で、その中学生は数年後国立大学に合格しました。
お母様から、
「合格できたのはやはり数学が伸びたお陰でした。」
と嬉しそうな声でご報告頂けました。
彼には、ちょとした数学は教えました。
しかし、志望校の数学の特徴と、解き方というか、問題への取り組み方のコツを、二日間に渡って少し話しただけなんです。
まあ、何かのきっかけにはなったでしょうが彼の努力の結果です。
あ、それから、私は誰でも彼でも、汚くても良いからスピードを上げろとはいいません。
ある程度は数学の基本用語を覚えて、基本作業ができるようになってからです。
しばらく見てればそのタイミングが分かるから、
学校の先生や、個別の指導を受けている人は講師の方からその時期を教えてもらうと良いですね。
みんなも、
「私は鉛筆の動きより頭の回転が速い」、
と思うなら鉛筆フルスピードで動かして見て下さい。
たぶん全員がそうだと思うけど(笑)
頭に浮かびもしないことを書けるはずないんだから。
ちょっとした練習で簡単に速くなるからやってみて下さい。
当然結果を出すのも早くなります。
ただし、じっくりやるときは慌てなくて良いです。
解答をまとめるときとかね。
字は下手くそでも良いですが、採点する人が見やすいようにていねいに書きましょう。
まだ、苦手意識が抜けない内はゆっくりでいいよ。
少しずつ速くして行ければそれで良いです。
単に楽しようと言うんじゃない。
確かに、努力の甲斐がない勉強法よりは楽でしょう?
「幾何学に王道なし。」
何年前の言葉だろう。
未だに王道はないんです。
ただ、現代では少しは近道があるといって良いでしょう。
少なくとも受験数学においては、ですね。
センター試験の数学ⅡBで数列の計算時間がかかりませんか?
ちょっとしたコツをおさえると計算時間変わります。
例えばシグマ計算ですが、
\( \displaystyle \sum_{k=1}^n (k^2+3k)\\ \\
=\displaystyle \frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)+3\cdot \displaystyle \frac{1}{2}n(n+1)\)
まさかこれを展開する人はいないだろうけど、
\( \displaystyle \frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)+3\cdot \displaystyle \frac{1}{2}n(n+1)\\ \\
=n(n+1)\left\{\displaystyle \frac{1}{6}(2n+1)+\displaystyle \frac{3}{2}\right\}\)
とするか
\( \displaystyle \frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)+3\cdot \displaystyle \frac{1}{2}n(n+1)\\ \\
=\displaystyle \frac{1}{6} n(n+1)\{(2n+1)+9 \}\)
でななり違ってきます。
何が違うって、日頃の分数処理の姿勢です。
私のように分数をいやがる人は分母を最初にどかしておけば良いだけです。
みんなも王道を求めるのではなくて、普通に数学の勉強しましょうよ。世界共通言語としての数学。
がんばって、数学楽しもう!
ここにまとめたことを基本に問題はつくられます。
それをはずすとすれば、問題はつくれません!