比例式は中学1年生で習いますが、図形の相似などではなくてはならないものですし、高校でもずっと使います。
高校の理科でも比例式を使って解く問題が多いです。化学などは比例式が理解できていないと計算問題は解けないというくらい使います。
ここでは比例式の復習と連比を利用した式の値を求める方法や解き方も説明しておきます。

比例式とは

中学数学の復習になります。

 \( a\,:\,b\,=\,c\,:\,d\)

のように2つの比が等しいことを等号を用いて表したものを比例式といいます。
この比例式においては
「内項の積」=「外項の積」
つまり \(ad\,=\,bc\) が成り立つことはよく知られていますよね。
中学の数学で既にやっているので詳しい説明も不要でしょう。

それと、この比例式は

 \(\displaystyle \frac{a}{b}=\frac{c}{d}\) や \(\displaystyle \frac{a}{c}=\frac{b}{d}\) でも同じことです。

どちらも \(ad\,=\,bc\) と同じ等式が導けます。
詳しく説明すると長くなるので、
「比の値は一定」で、『前項どうし、後項どうしの比も一定」としておきます。
高校生向けの内容だから先に進みます。

※ ⇒ 1次方程式と比例式の利用と解き方のまとめ

中学生向けの比例式になりますが復習しておいてください。

化学の計算に強くなりたければ

⇒ 関数が比例しているか反比例しているか?関係式の作り方と見分け方

便利な比例の使い方をお伝えしています。

連比とは

また、2つの比だけでなく3つの比が等しいことも比例式で表せます。

 \( a:b=c:d=e:f\) ・・・①

または

 \(\displaystyle\frac{a}{b}=\frac{c}{d}=\frac{e}{f}\) ・・・②

のように3つ以上の比が等式で結ばれたものを「連比」といいます。
数学の問題では、連比は①と②の両方が出てきますので同じものだと思っていて良いです。
ただ、計算を進める上では②の形に直すと便利です。

連比を利用し式の値を求める計算問題の解き方

例題で見てみましょう。

例題1

 \( abc \neq0\) とする。

 \(\displaystyle \frac{a+b}{3}=\frac{b+c}{4}=\frac{c+a}{5}\)
のとき 
 \(\displaystyle \frac{a^3+2b^3+c^3}{abc}\) の値を求めよ。

比例式や連比を条件式に見つけたら、
無条件に「 \( \color{red}{=k}\) 」とおいて見てください。
いわゆる定石というものです。

問題の連比が、
 \( (a+b):(b+c):(c+a)=3:4:5\)
となっていても同じですからね。

 \(\displaystyle \frac{a+b}{3}=\frac{b+c}{4}=\frac{c+a}{5}=\color{red}{k}\)

とおくと、\( k\neq0\) で、

 \( \begin{cases} a+b=\color{red}{3k} \\ \\ b+c=\color{red}{4k} \\ \\c+a=\color{red}{5k} \end{cases}  ・・・③\)

と連立することができます。

これから \( a,b,c\) を \(k\) で表すのですが、
辺々を加える(左辺どうし、右辺どうし加える)と、

 \( 2(a+b+c)=12k \\ \\
\Leftrightarrow \hspace{10pt} a+b+c=6k  ・・・④\)

となります。

これから上に連立した等式の辺々をそれぞれ引くと、
(④-③を上から順に計算すると)

 \( c=\color{red}{3k}\\ \\
a=\color{red}{2k}\\ \\
b=\hspace{7pt} \color{red}{k}\)

となります。

全部の問題とはいえませんが、このように計算しやすくなっているものが多いです。

後はこれらを与式に代入して計算すれば良いだけですが、\(\color{red}{ k は消える}\)ようになっています。

 \( \displaystyle \frac{a^3+2b^3+c^3}{abc}\\ \\
=\displaystyle \frac{(2k)^3+2(k)^3+(3k)^3}{(2k)(k)(3k)}\\ \\
=\displaystyle \frac{8k^3+2k^3+27k^3}{6k^3}\\ \\
=\displaystyle \frac{37k^3}{6k^3}\\ \\
=\displaystyle \frac{37}{6}\)

答えを出すだけなら、
 \( a=2\) , \( b=1\) , \( c=3\)

を与式に代入しても同じですが、
 
 \( \displaystyle \frac{a^3+2b^3+c^3}{abc}=\displaystyle \frac{8+2+27}{6}=\displaystyle \frac{37}{6}\)

 \(k\) を用いた比で表した数を代入し、\(\color{red}{k が消える}\)ことを確認しながら進めて下さい。

ちなみに

 \( \displaystyle \frac{a+b}{3}=\displaystyle \frac{b+c}{4}=\displaystyle \frac{c+a}{5}=k\)

とおいたとき、\( \color{red}{k=0}\) とすると \(\color{red}{ a=b=c=0}\) となり、
問題の \( abc \neq 0\) に反するので \( k \neq0\) として良いわけです。

持っている問題集を見てください。
同じような問題があると思いますが同じ解き方していませんか?

こういった定石と呼ばれる方法が数学にはいくつもありますから、
1つでも多く習得しておくとあなたの数学の成績も安定してくるかもしれませんよ。

⇒ 対称式の値を求める問題と解き方

対称式変形なども定石と言えるかもしれませんね。
普通に使うので考えもしませんけど。