整数の桁数や小数で0以外の数字が初めて現れるかという問題を対数を使って解く問題の解説です。
これらの問題は底を10とした常用対数だけを使うことになるので、底について悩む必要はありません。
指数と桁数がわかりづらいですが対数をとって、ちょっとした規則性を見るだけで解決します。

指数・対数の使いどころ

いよいよ指数・対数の意義が出てきます。

指数や対数は膨大な天文学的数字を簡単に計算出来るように、感覚的につかめるような数字で表すというのが始まりですからね。
しかし、昔に帰る必要はなくあるものは使ってしまいましょう。
それこそ数学の意義です。

対数を使って整数の桁数を求める問題の解き方

例題1

 \( 6^{30}\) は何桁の数か答よ。

ただし \( \log_{10}2=0.3010 , \log_{10}3=0.4771\) とする。

計算してたら日が暮れます。
というかやったことないけど、電卓でも普通の電卓では桁数が足りないのでパソコンでないと無理でしょう。

そこで対数を利用するのですが、まずは桁数について触れておきましょう。

整数の桁数の見つけ方

例えば「 \( 123\) 」は3桁の整数です。

 \( 100 \sim 999\) までの整数は3桁です。
 \( 999-100+1=900\) 個あります。

これは、

 \( 100≦ 123 < 1000\\ \\ \hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} 10^2≦ 123 < 10^3\)

と表せます。

指数を見て欲しいのですが、
 一番左の指数は「2」、
 一番右の指数はそれよりも1大きい「3」
ではさむように表しています。

一般的にすると、

 \( 10^n ≦ x < 10^{n+1}\) と表していることになります。

そしてこの間にある \( x\) は右の指数 \( \color{red}{n+1}\) 桁の整数になります。

これを頭に入れておいて下さい。
その都度具体的に書き出して考えても良いです。
例えば、

 \( 1000 ≦ 1234 < 10000\\ \\ \hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} 10^3 ≦ 1234 < 10^4\)

だから \( 1234\) は右の指数の「4」桁に一致する、となるので

 \( 10^n \,≦\, x \,<\, 10^{\color{red}{n+1}}\)

の \(x\) は \(\color{red}{ n+1}\) 桁

と一般的にいえるということです。

具体例を解答に書く必要はありません。

 \( 10^n ≦ x < 10^{n+1}\)

の \( x\) が \(n+1\) 桁だということは説明なしに言っていいです。
自分で納得するために毎回やっておくと良いだけですよ。

ここから少し工夫が必要ですのでよく見て、覚えておいて下さい。

「何桁の整数か?」と聞かれたら

 「底が10の常用対数

を取ります。

 \( 6^{30}\) の常用対数をとると

  \( \log_{10}6^{30}=30 \log_{10}6\)

対数部分の変形は与えられた数値

 \( \log_{10}2=0.3010\hspace{7pt},\hspace{7pt}\log_{10}3=0.4771\)

が使えるように変形します。

  \( \log_{10}6^{30}\\ \\
=30 \log_{10}6 \\ \\
= 30(\log_{10}2+\log_{10}3)\\ \\
=30 \,(\, 0.3010+0.4771 \,)\,=\,23.343\)

となり数字の大きさが1つ違いの不等式で表すと、

  \( 23 ≦ 23.343 < 24\)

のようにはさむことができます。
(左の等号はなくてもかまいません。)

これ( \(23.343\) )を対数に戻すと、

  \( 23 ≦ \log_{10}6^{30} < 24\)

となります。

数の大小は世界をそろえる、が基本なので、23,24を対数(常用対数)で表すと、

  \( 23 ≦ \log_{10}6^{30} < 24\\ \\ \hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} \log_{10}10^{23} ≦ \log_{10}6^{30} < \log_{10}10^{24}\)

この

 \( 23=\log_{10}10^{23} , 24=\log_{10}10^{24}\) 

とするところも1つのポイントですね。

不等式は「底が10」で1より大きい底です。
これは増加関数なので真数の大小が一致します。

 \( 10^{23} ≦ 6^{30} < 10^{24}\)

つまり、

 \( 6^{30}\) は \( 10^{23}\) と \( 10^{24}\) の間にあることになり、
  \(\color{red}{24桁の整数}\)
だということがいえました。

 \( 10^{23} ≦ 6^{30} < 10^{24}\)

と、底が10の指数ではさむ形で表すことが大きなポイントです。

 \( 10^{23}\) は24桁の最初の数、
 \( 10^{24}\) は25桁の最初の数

の確認はして下さい。

 \( 10^2=100\) は3桁
 \( 10^3=1000\) は4桁
 \( 10^4=10000\) は5桁
・・・
 \( 10^{23}\) は24桁
 \( 10^{24}\) は25桁

ですよ。

方向性のポイントは2つ。

 「 底が10の常用対数をとること」
 「 \( 10^n \,≦\, x \,<\, 10^{n+1}\) の形で表すこと」

です。

小数の第何位に0でない数字が現れるかを求める問題の解き方

例題2

 \( \log_{10}2=0.3010 , \log_{10}3=0.4771\) とする。

  \(\displaystyle \left(\frac{5}{6}\right)^{200}\)

は小数第何位に初めて0出ない数字が現れるか答えよ。

この問題は少し慣れておかないと問題の意味さえ取れません。
しかし、「その場で試す」という作業が身についていれば問題の理解はできます。
例えば、

 \( \left(\displaystyle \frac{1}{6}\right)^1=0.166\cdots\)

で、小数第1位。

 \( \left(\displaystyle \frac{1}{6}\right)^2=0.0277\cdots\)

で、小数第2位。
 
 \( \left(\displaystyle \frac{1}{6}\right)^3=0.00462\cdots\)

で、小数第3位だからといって、
答を「小数第200位」とするのは単純すぎます。

第4位までは規則性がありそうですが、

 \( \left(\displaystyle \frac{1}{6}\right)^5=0.000128\cdots\)

小数第5位とはなっていません。

解き方が全く不明なときはこれくらいは調べてみないとダメですよ。

では、

 \( \left(\displaystyle \frac{5}{6}\right)^{200}\)

は?って計算はできません。
(1)と同様計算してたら日が暮れるから問題になっているんです。

そこで、(1)の桁数と同様に対数(常用対数)を取ります。
すると、

 \( \log_{10} \left(\frac{5}{6}\right) ^{200}\\ \\
=200\cdot \log_{10}\left(\frac{5}{6}\right)\\ \\
=200\cdot \log_{10}{( 5\div 6)}\\ \\
=200\,(\, \log_{10}5- \log_{10} 6\,)\)

となりますが、問題には

 \( \log_{10}2=0.3010\hspace{7pt},\hspace{7pt}\log_{10}3=0.4771\)

の値しか与えられていません。

 \(\log_{10}6\) は(1)でも計算できているので良いのですが
問題は \( \log_{10}5\) です。

これはよく使うので覚えておきましょう。

 \( 5=\displaystyle \frac{10}{2}\)

なので

 \( \log_{10}5 \\ \\
= \log_{10}(10 \div 2)\\ \\
=1-\log_{10}2\)

です。
このことを利用すると、
 
 \( \log_{10} \left(\frac{5}{6}\right) ^{200}\\ \\
=200\,(\, \log_{10}5- \log_{10} 6\,)\\ \\
=200\,(1-\log_{10}2-\log_{10} 6)\\ \\
=200\,\{1-\log_{10}2 -(\log_{10}2+ \log_{10}3)\}\\ \\
=200\,(1-\log_{10}2 -\log_{10}2- \log_{10}3)\\ \\
=200\,(1-0.3010-0.3010-0.4771)\\ \\
=-15.82\)

まずは小数の大小を不等式で表すと、

  \( -16\, < \,-15.82\, < \,-15\)
となります。

常用対数で表すと、

  \( -16 \,< \,\log_{10}\,\left(\frac{5}{6}\right)^{200}\, < \,-15\\ \\ \hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt} \log_{10}10^{-16} \,< \,\log_{10}\left(\frac{5}{6}\right)^{200} \,< \,\log_{10}10^{-15}\\ \\ \)

底が1より大きいので真数の大小は一致して、

  \( 10^{-16} \,< \,\left(\displaystyle \frac{5}{6}\right)^{200} \,< \,10^{-15}\)

小数第何位かを確認する方法

  \( 10^{-\color{red}{n}} \,≦\, x \,<\, 10^{-n+1}\)

と表される \( x\) は小数第 \( \color{red}{n}\) 位に始めて0でない数が現れる。

例えば、

  \( 10^{-1}\,≦ \,x \,< \,10^{0}\\ \\ \hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt}0.1 \,≦ \,x\, < \,1\)

これに \( 1\) は範囲に含まれませんので、

 \( 0.1 \,≦ \,x\, < \,0.9999\cdots\)

と見てしまえば
小数第1位に初めて0ではない数字が来ます。

  \( 10^{-2}\,≦ \,x\, < \,10^{-1}\\ \\ \hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt}0.01 \,≦ \,x\, < \,0.1\)

これに \( 0.1\) は範囲に含まれないので

 \( 0.01 \,≦ \,x\, < \,0.09999\cdots\)

で小数第2位に初めて0ではない数字が来ます。

  \( 10^{-3}\,≦ \,x\, < \,10^{-2}\\ \\ \hspace{5pt} \Leftrightarrow \hspace{5pt}0.001 \,≦ \,x\, < \,0.01\)

これに \( 0.01\) は範囲に含まれないので

 \( 0.001 \,≦ \,x\, < \,0.009999\cdots\)

で小数第3位に初めて0ではない数字が現れます。

初めて0ではない数字が出るのが、
不等式の一番左側にある指数の絶対値であることを確認して下さい。

一般的にいうと

  \( 10^{-n}\,≦ \,x\, < \,10^{-n+1}\)

と表されるとき \( x\) は左の指数の \( n\) と同じ数字で
 小数第 \( n\) 位に初めて0ではない数字が現れる、
ということです。

このことは「その場で具体的に1つ2つ書き出して確認する」ということをした方がいいですよ。

これが分かれば、

  \( 10^{-16} \,< \,\left(\displaystyle \frac{5}{6}\right)^{200} \,< \,10^{-15}\)

から、
 「小数第16位に始めて0でない数が現れる」
ということがわかります。

これらの問題は指数や対数を多いに利用する典型的な問題です。
記憶しておいても位くらいですね。

⇒ 指数の掛け算や割り算や分数の計算問題の解き方

⇒ 対数の計算公式一覧(底の変換と真数の掛け算・割り算の変形のしかた)

指数対数での難しい計算は数学Ⅲになりますので、この単元では基本的なことが優先されます。