不定積分の定義と定理(公式)の確認と計算問題の解き方です。
不定積分と原始関数は区別することもありますが高校の数学では区別しなくて良いです。
積分定数を書くことを忘れなければ積分は微分の逆演算なのでそれほど難しく考えずに進めましょう。
基本的な問題で確認しておきましょう。

不定積分の定義と定理(公式)

積分できる人は計算練習に飛んでも良いですよ。
でも、がんばって書いたので定義、定理も一応目を通しておいてください。笑

 【不定積分の定義】

 \(\,x\,\)の関数が与えられたとき、
 微分すれば\(\,f(x)\,\)となる関数 \( F(x)\) のことを、
 \(\,f(x)\,\)の不定積分という。

つまり、
 \( F(x)\) は \( f(x)\) の不定積分 \(  \Leftrightarrow   F\,'(x)=f(x)\)
が不定積分の定義です。

「原始関数」という言葉自体を忘れている人が多くいますが、数学の用語でもあるので覚えておいて下さい。
厳密には(大学以上の数学では)区別されますが高校までは同じものと考えて構いません。
「不定積分と原始関数は違う」という大学以上の数学を持ち出す偉い人の話は今は聞かなくて良いです。
ここでは「不定積分」で通します。

通常、\(\,f(x)\,\)の原始関数は大文字を使って\(\,F(x)\,\)と表します。

微分と積分は逆の演算になるので、
微分して \( f(x)\) になる関数が不定積分(原始関数)です。

例えば、
 \(x^3\,,\,x^3+3\,,\,x^3-5\) は微分するとすべて \( 3x^2\) になるので、
これらはどれも \( 3x^2\) の不定積分です。

任意の定数を \( C\) を用いて表すと
 \(\hspace{10pt} (F(x)+C)’=F\,'(x)+0=f(x)\)
のように、定数は微分すると0になるので、
\(\hspace{10pt}f(x)\,\)の不定積分は無限にあるといえます。

不定積分の定理

 \( f(x)\) の不定積分は一般に \( \int\) を用いて
 \(\hspace{10pt} \displaystyle \int f(x) dx\)
と書き表します。

この記号を用いると、

 【定理(不定積分と積分定数)】

 \(\hspace{10pt} \displaystyle \int f(x)dx=F(x)+C\)

ここで、定数 \( C\) を積分定数という。

「積分する」とは \( f(x)\) に対する不定積分を求めることをいいます。

例えば、
 \(\hspace{10pt}\displaystyle \int 2x \,dx=x^2+C\) ( \( \color{red}{C}\) は積分定数

このように「不定積分を求めよ」という問題の場合は「積分定数」をつけて、
「 \( C\) は積分定数」と書き添えるのが一般的です。

定義から振り返ってみましょう。

 \(\hspace{10pt} f(x)\) を積分すると \( F(x)+C\) になります。
逆に
 \(\hspace{10pt} F(x)+C\) を微分すると \( f(x)\) になります。

よって
 \(\hspace{10pt} \displaystyle \frac{d}{dx} \int f(x)dx=f(x)\)
が成り立つということです。
一気にいくと分かりにくくなるので積分できるようになってからにしましょう。

積分は微分の逆演算なのですぐに理解できるでしょう。

 【定理】( \( x^n\) の不定積分)

 \(\hspace{10pt}\displaystyle \int x^n\,dx=\frac{1}{n+1}x^{n+1}+C\)
 ( ( \,C\,\)は積分定数)

係数と次数を分けて考えると分かりやすいです。

例えば、\( 5x^3\) 不定積分

 \( \hspace{10pt}\displaystyle \int 5x^3dx\)

を求めることを考えます。
先ず次数ですが、積分すると1つ次数が上がります。

 \( x^3 \rightarrow x^4\)

そしてこの \( x^4\) を微分したとすると「係数に4」が出てきますが、
実際には「係数は5」です。

微分して出てきた係数「\(\,4\,\)」に何かを書けて「\(\,5\,\)」になる数字は、

 \(\hspace{10pt} 4\times \displaystyle \frac{5}{4}=5\)

なので
 \(\hspace{10pt} \displaystyle \int 5x^3dx=\frac{5}{4}x^4+C\)
とすれば良いのですが、
 \(\hspace{10pt} \displaystyle \int 5x^3dx=ax^4+C\)

になることは決まっているので、右辺を微分した係数を左辺と比較して

 \(\hspace{10pt}\displaystyle 5=4a ⇔ a=\frac{5}{4}\)

としても良いです。
慣れないうちはこの方がはやいかもしれません。
もちろんこの計算は解答に書く必要はありません。

さらに微分の線型性と同じように

 【定理】(不定積分の線型性)

 ① \( \displaystyle \int kf(x)dx=k\int f(x)dx\)

 ② \( \displaystyle \int \left\{f(x)+g(x)\right\}dx=\int f(x)dx+\int g(x)dx\)

 ③ \( \displaystyle \int \left\{f(x)-g(x)\right\}dx=\int f(x)dx-\int g(x)dx\)

ここは重苦しく感じなくて良いです。
足して積分するのと、積分して足すのと、同じと考えて良いということです。
積分定数があいまいなので、定数部分もはっきりしませんしね。
定積分のところでもう一度見なおして見ましょう。

ここまでを定義と定理としてまとめましたが積分できれば良いんです。

これから先をしっかり見てくれれば積分はできるようになります。
数学\(\,Ⅲ\,\)の積分はやりませんのでできる不定積分の繰り返しですよ。

積分定数のまとめ方

上の定理で1つだけ加えておくと、

 \(\hspace{10pt} \displaystyle \int (x+1)^3dx\\ \\
\displaystyle =\int (x^3+3x^2+3x+1)dx\\ \\
\displaystyle =\int x^3+3\int x^2\,dx+3\int x\,dx+\int 1\,dx\\ \\
\displaystyle =\frac{1}{4}x^4+x^3+\frac{3}{2}x^2+x+C\)
( \( C\)は積分定数 )

こういう多項式の積分をするときは積分定数を各項につける必要はありません。
最後に1つ書いておけば良いですよ。

定積分は別に取り上げて詳しく説明しますので、
不定積分の計算問題をレベルアップしておきましょう。

不定積分の計算練習問題

片っ端から例題を取り上げても良いのですが数練習は必要ありませんので、いくつかずつ拾い上げておきます。

単項式の不定積分

例題1

次の不定積分を求めよ。

(1) \( \displaystyle \int 5x^4\,dx\)
(2) \( \displaystyle \int dx\)
(3) \( \displaystyle \int x^5\,dx\)
(4) \( \displaystyle \int t^5\,dx\)

すべて

 \(\hspace{10pt} \displaystyle \int x^n\,dx=\frac{1}{n+1}x^{n+1}+C\)

を使います。

「(1)~(4)すべて \( C\) は積分定数とする。」
(不定積分計算問題がまとめて出たらこういう書き方でも通用します。w)

(1)
 \(\hspace{10pt} \displaystyle \int 5x^4\,dx\\
\displaystyle =5\int x^4\,dx\\ \\
\displaystyle =5\cdot\frac{1}{4+1}x^5+C\\
=x^5+C\)

これはわざわざ、って感じですよね。
直接 \( x^5+C\) で良いです。

(2)
 \( \displaystyle \int dx\)

これは書き間違いではありませんよ。

 \(\hspace{10pt} \displaystyle \int dx\\
\displaystyle =\int (1)dx\\ \\
=x+C\)

「1」が省略される場合があるので経験問題として取り上げました。
(筆者は書き間違いは良くあるけどここでは間違いではありません。笑)

(3)
 \(\hspace{10pt} \displaystyle \int x^5\,dx\\ \\
\displaystyle =\frac{1}{5+1}x^{5+1}+C\\
\displaystyle =\frac{1}{6}x^6+C\)

これは(4)へのつなぎ問題です。
(4)
 \( \displaystyle \int t^5\,dx\)

これは(3)とは違います。

 \( dx\) と積分の後を見て分かるように、
 \( x\) について積分しますので \( t^5\) は単なる定数です。

 \( \displaystyle \int \color{red}{t^5}\,dx\\
\displaystyle =\color{red}{t^5}\int (1)\,dx\\ \\
=\color{red}{t^5}x+C\)

不定積分の計算の見直しは、微分してもとの関数に戻るかを検算すればできます。

多項式の不定積分の計算問題

多項式の積分は単項式の積分をいくつかするだけです。

例題2

次の不定積分を求めよ。

(1) \( \displaystyle \int (3x^2+4x-5)dx\)
(2) \( \displaystyle \int (x-1)(x-3)dx\)
(3) \( \displaystyle \int (t^2-2t+5)dt\)

 \( C\) は積分定数とする。

(1)
 \(\hspace{10pt} \displaystyle \int (3x^2+4x-5)dx\\
=x^3+2x^2-5x+\color{red}{C}\)

で、良いですよ。

 \(\hspace{10pt} \displaystyle \int (3x^2+4x-5)dx\\
\displaystyle =\int 3x^2\,dx + \int 4x\,dx-\int 5dx\\
=x^3+C_1+2x^2+C_2-5x+C_3\\ \\
=x^3+2x^2-5x+(\,\color{blue}{C_1+C_2+C_3}\,)\)

と不定積分を別々にするからといって、積分定数を書き分けなくて良いということです。

積分定数は1つひとつが任意の定数なので\( \,\color{blue}{C_1+C_2+C_3}\,\)も任意の定数で定まりません。
だから積分した後で\( \,\color{red}{C}\,\)を1つ書くだけで良いです。

(2)
 \(\hspace{10pt} \displaystyle \int (x-1)(x-3)dx\)

これは展開して積分します。
 \(\hspace{10pt} \displaystyle \int (x-1)(x-3)dx\\
\displaystyle =\int (x^2-4x+3)dx\\
\displaystyle =\frac{1}{3}x^3-2x^2+3x+C\)

余計ややこしくなるのでやらないとは思いますが、
やってはいけないのは

 \(\hspace{10pt} \displaystyle \int (x-1)(x-3)dx\\ \\
\displaystyle =\int (x-1)dx\color{red}{\times} \int (x-3)dx\)

とすることです。
一般に

 \(\displaystyle \int f(x)g(x)\,dx \color{red}{\neq }\int f(x)dx \cdot \int g(x)dx \)

ですからね。

(3)

 \(\hspace{10pt} \displaystyle \int (t^2-2t+5)dt\)

これは\(\,t\,\)で積分することに気がつけば問題ありません。

 \(\hspace{10pt} \displaystyle \int (t^2-2t+5)dt\\ \\
\displaystyle =\frac{1}{3}t^3-t^2+5t+C\)

不定積分によって関数を決定する問題

関数の決定問題はいろいろな形がありますが、この不定積分による関数の決定もその1つです。

どのような問題であろうと、
 あるだけの条件を使って必要な条件を絞り出す
というののは変わりません。

例題3

微分すると\(\,3-8x\,\)で,\(\,x=0\,\)のとき\(\,y=4\,\)となる関数を求めよ。

すごくシンプルな問題です。
「微分すると \( 3-8x\) 」となる関数を求めるとは、
 \( 3-8x\) の「不定積分」(「原始関数」)を求めるということですね。

通常、\(\,f(x)\,\)の原始関数は大文字を使って\(\,F(x)\,\)と表します。
つまり、
 「\(\,F(x)\,\)は\(\,f(x)\,\)の不定積分」⇔「\(\,F\,'(x)=f(x)\,\)」
が不定積分の定義でした。

求める関数を \( y=f(x)\) , 積分定数を \( C\) とすると、

 \(\begin{eqnarray}\displaystyle
y&=&f(x)\\
&=&\int (3-8x)dx\\
&=&3x-4x^2+C
\end{eqnarray}\)

そして条件の、
 「\(\,x=0\,\)のとき\(\,y=4\,\)となる」
を代入すると積分定数 \(\,C\,\) が決まります。

 \( x=0\) のとき \( f(0)=C=4\)

よって
 \(\hspace{10pt} y=\underline{ -4x^2+3x+4 }\)

微分できれば積分はできます。
数学\(\,Ⅱ\,\)であつかう整関数では
 \(\hspace{10pt} \displaystyle \int x^n\,dx=\frac{1}{n+1}x^{n+1}\)
しか使わないといっても良いくらいなので使えるようになっておきましょう。
微分して検算すれば良いだけなので先ずは微分ですけどね。

⇒ 数学Ⅱ(整関数)の定積分の公式(定義と定理と計算問題で使える公式)

定積分です。面積が求められるようになります。

⇒ 微分法と積分法の要点(数学Ⅱ)

積分は微分の逆演算なので積分が分からない人は微分から見直しておきましょう。