極限値を求める問題を解いて行くと、必ずといって良いほど関数の係数を求める問題が出てきます。
数学Ⅱの範囲では数列や三角関数をあつかうのではなく分数の形をした有理関数になります。
ここで説明するのは有理関数の係数の求め方です。
2つの解き方がありますが、知っておくのは1つで良いです。

分数式の極限値の有無

問題を解く前に確認しておくことがあります。

極限値が存在するのかしないのかです。

 \( \displaystyle \lim_{x \to 1} (x-1)=0\)

これは「0」という値に「収束するので極限値はあります」。

 \( \displaystyle \lim_{x \to 1} \displaystyle \frac{1}{x-1}=\infty\)

これは「 \( \infty\) 」になるので「発散し極限値はありません」。

極限値というものが限りなく近づく値なので、
「 \( \infty\) が極限値になる」
と思っている人がたまにいるので確認しています。
『 \( \infty\) 』は値ではありませんよ。

つまり、
極限値が存在するということは、ある数(値)に収束するということです。

これを踏まえて問題に入りましょう。

分子は0に収束

例題

 \(\displaystyle \lim_{x \to 4} \frac{2x^2+ax+b}{x^2-2x-8}=3\)

となるように、\( a\,,\,b\) の値を定めよ。

 \( x \rightarrow 4\) とするんですよね?
そのまま代入してもダメなのは分かるでしょう?

分母が0です。

 \(\hspace{10pt}\displaystyle \lim_{x \to 4} (x^2-2x-8)\\ \\
=4^2-2\cdot(4)-8\\ \\
=16-8-8=\color{red}{0}\)

全体は「3に収束」するはずなので分子も0になる必要があります。
ここを見逃してはダメですよ。
「3」に収束すると問題に書いてあるところです。

もし分子も0にならないとすれば、

 \(\hspace{10pt} \displaystyle \lim_{x \to 4} \displaystyle \frac{2x^2+ax+b}{x^2-2x-8}=3\)

にはならないですからね。

少なくとも分子が0に収束する必要があるので

 \( \hspace{10pt}\displaystyle \,\lim_{x \to \,4} \,(2x^2+ax+b)\\ \\
=2\cdot(4)^2+a\cdot (4)+b\\ \\
=32+4a+b=\color{red}{0}\)

より、

 \( b=-4a-32\) ・・・①

これを元に戻すと約分できるようになっています。

 \(\hspace{10pt} \displaystyle \frac{2x^2+ax+b}{x^2-2x-8}\\ \\
=\displaystyle \frac{2x^2+ax-4a-32}{x^2-2x-8}\\ \\
=\displaystyle \frac{(x-4)(2x+a+8)}{(x-4)(x+2)}\\ \\
=\displaystyle \frac{2x+a+8}{x+2}\)

この分子の因数分解は難しそうに見えますが、
 \( x\rightarrow 4\) で0になるので、
 \( (x-4)\) を必ず因数に持つと考えて割り算すればすぐにでますよ。

改めて極限を出しましょう。
極限値は3です。

 \(\hspace{10pt} \displaystyle \lim_{x \to \,4} \,\displaystyle \frac{2x+a+8}{x+2}\\ \\
=\displaystyle \frac{2\cdot 4+a+8}{4+2}\\ \\
=\displaystyle \frac{16+a}{6}=3\)

これから \( a=2\)

①に代入して \( b=-4\cdot(2)-32=-40\)

(答) \( \underline{a=2\,,\,b=-40}\)

「必要性がある」としたので十分性もいっておいた方が良いでしょう。
答を出すだけならいらないですけどね。

 \( a=2\,,\,b=-40\) のとき

 \(\hspace{10pt} \displaystyle \lim_{x \to 4} \displaystyle \frac{2x^2+2x-40}{x^2-2x-8}\\ \\
\displaystyle =\lim_{x \to 4} \displaystyle \frac{(x-4)(2x+10)}{(x-4)(x+2)}\\ \\
\displaystyle =\lim_{x \to 4} \displaystyle \frac{2x+10}{x+2}=\displaystyle \frac{18}{6}=3\)
(十分)

「分子が0」というところは、

 \(\displaystyle f(x)=\frac{g(x)}{h(x)}\) とすると \( f(x)h(x)=g(x)\)

なので
 \(\displaystyle \lim_{x \to \,4} \,h(x)=0\)
ならば

 \( \displaystyle \lim_{x \to \,4} \,f(x)h(x)= \lim_{x \to \,4} \,g(x)=0\)

ということからいっても良いですよ。

これって最初に極限を取る時点で不定形にならないとダメですよね?

不定形だからできる方法

もう一つの考え方としては、それなら分母、分子ともに微分してやれば良いのでは?
と考えて、

 \(\hspace{10pt} \displaystyle \lim_{x \to 4} \displaystyle \frac{(2x^2+ax+b)’}{(x^2-2x-8)’}\\ \\
=\lim_{x \to 4} \displaystyle \frac{4x+a}{2x-2}\\ \\
=\displaystyle \frac{16+a}{6}=3\)

から \( a=2\) とするのも良いかもしれませんね。

この後は、微分する前の分子が0に収束する、とすれば \(b\) もすぐに求まります。

多くの例題は必要無いでしょう。

⇒ 極限値の求め方(不定形を含む問題も数学Ⅱの範囲で解く方法)

収束するための必要条件から攻めていけば良いだけです。

⇒ 微分法と積分法の要点(数学Ⅱ)

数学\(Ⅱ\)の範囲でまとめています。