最大公約数や最小公倍数は小学校の算数からあつかいますが、高校生でも考え方は同じです。
何が違うのか?
何故整数というだけで難しく感じてしまうのか?
苦手にしている人にはそれなりの理由があるんですよね。
簡単な問題から取り組んで見ませんか?


良く論証問題で、
「最小の自然数を求めよ」
「ある自然数で割り切れることを示せ」
という問題を見かけると思います。

整数は小学生の頃からなじみのある数なので気楽に取り組んで見ましょう。

整数の論証問題の言っていることは書き出すと見えてくる

例題を先にあげて具体的に見ていきましょう。

例題
3つの数12,15,16のどれで割っても2余るような,
2より大きい最小の自然数を求めよ。

これは比較的簡単に見つかると思います。

12で割って2余る自然数は、
 \( 12+2\,,\,24+2\,,\,36+2\,,\,\cdots\,,\,12a+2\)

15で割って2余る自然数は、
 \( 15+2\,,\,30+2\,,\,45+2\,,\,\cdots\,,\,15b+2\)

16で割って2余る自然数は、
 \( 16+2\,,\,32+2\,,\,48+2\,,\,\cdots\,,\,16c+2\)

と並べて行けば

 \(\color{red}{ 12a,15b,16c が一致すれば +2 された数字も一致する}\)

ということがわかるでしょう。

つまり、

「2より大きい最小の自然数」なので
\(\color{red}{12\,,\,15\,,\,16\,の最小公倍数}\)に2を足せば良いのです。

このように問題の意味がわかりにくいときは、
自分で書き出して行く、という作業が効果的です。

説明はいらないかもしれませんが、
 \( 求める自然数を n とすると、\\
16\,で割って2あまる数は、 n\,=\,16m\,+\,2 となっていますが、\\
n-2\,=\,16m\, とあらかじめ\,2\,を引いておくと,\\
n-2 \,は\,16\,で割り切れるということになります。\)

\( だから n-2 はどのような数かというと、\\
\color{red}{12\,,\,15\,,\,16\,の公倍数}です。\)

最小のものを求めるので「最小公倍数」を探しに行くんです。

最小公倍数の求め方

これも小学生中学生のときにやっているので説明は不要かもしれませんが、
一応書いておきます。

最小公倍数の探し方は知っていると思いますが、素因数分解ですね。

 \( 12=2^2\times3\)
 \( 15=3\times5\)
 \( 16=2^4\)

出てきた素因数の中で
「次数の一番高いものを掛け合わせた数」
が最小公倍数。

出てくる素数は、

 \( 2\,,\,3\,,\,5\) 

ですが、次数が一番高いのは、

 \( 2^4\,,\,3^1\,,\,5^1\)

これから 12,15,16の最小公倍数は

 \( 2^4\times 3\times 5=240\)

これに2を足せば12,15,16のどれで割っても2余るので
 \( 240+2=\underline{242}(答え)\)

最小公倍数の探し方を小学生ならどうするかというと、

最後の4は素数ではないけど、
これ以上共通で割れる数がないので終了して構いません。

この割った数と残った数をすべてかけると最小公倍数です。

 \( 2\times2\times3\times1\times5\times4=240\)

2つの数の最小公倍数の求め方は知っていたけど、
3つの数の最小公倍数の求め方は知らなかった、
という人もいませんでしたか?

別に知らなくて良いんです。
素因数分解出来れば見つけられるんですから。

小学生は素因数分解を習っていないから小学生なりの方法で求める。
中学生は素因数分解を知っているのだから素因数分解を利用する。

それだけの違いです。結果は同じ。

まとめ

最小公倍数の求め方はどちらでも良いですが、
応用が効くのは素因数分解です。

だからといって使ってはいけないということもないので、
わかる範囲で試して見てください。

大切なのは、

最初に行った具体的な書き出しです。

 規則性をみる
 具体例で考える

数学の問題を解く上で基本にしたい作業ですね。

⇒ 覚えておいた方がいい倍数の見分け方

これは知っておいた方が良いですよ。

⇒ 3つの数の最大公約数と最小公倍数の求め方

小学生の求め方です。

⇒ 整式とは?整式の最大公約数と最小公倍数の求め方

整式での扱いができるようになると一般的です。