2018年、平成30年度のセンター試験過去問、数学ⅠA第3問(確率)の解答と解説になります。
場合の数と確率という範囲ですが、今年は確率のみに見えます。
ただ、場合の数で行う基本的なことは含まれているので、確率だけだったというのは限定しすぎです。


2018年(平成30年)度センター試験問数学ⅠAの問題

センター試験の問題は大学入試センターにもありますので確認してください。
ここでの解説はちょっと変わっているかもしれませんが、得点を優先しているのでご了承下さい。

⇒ 2018年(平成30年)度センター試験問数学ⅠAの問題

第3問(選択)確率の解説

第3問~第5問までは2問選択なのでどの2つを選ぶかで少し得点が変わってくるでしょうか。

確率です。

同時に投げても一つずつ2回投げても同じ

2個のサイコロなので表が使えますね。

(1)各事象を見ておきましょう。

 A を「大きいさいころについて、4の目が出る」という事象

サイコロの出目は1から6まであるので、4がでる確率は、
 \( P(A)=\displaystyle \frac{\fbox{1}}{\fbox{6}}\)

 B を「2個のさいころの出た目の和が7である」という事象
2個のさいころの出た目の「和」は
表にすると

小\大123456
1
2
3
410
51011
6101112

2個のさいころの和は36通りの出方がありますが、
そのうち「和が7」になるのは赤字の6通り、
よって、
 \( P(B)=\displaystyle \frac{6}{36}=\displaystyle \frac{\fbox{1}}{\fbox{6}}\)

C を「2個のさいころの出た目の和が9である」という事象
 B のときと同様に表にすると、
(実際には同じ表で印をかえて見分ければ良いですよ。)

小\大123456
1
2
3
410
51011
6101112

「和が9」になるのは青字の4つなので
 \( P(C)=\displaystyle \frac{4}{36}=\displaystyle \frac{\fbox{1}}{\fbox{9}}\)

ア:1 イ:6  ウ:1 エ:6  オ:1 カ:9

条件付き確率は公式が無くても出せる

(2)

事象 C が起こったときの事象 A が起こる条件付き確率は

表を書き出しているので公式は使う必要はありません

小\大123456
1
2
3
410
51011
6101112

 C が起こるのは和が9の(4通り)、
「そのうち」大きいさいころが4というのは(1通り)です。

よって、
 \( P_C(A)=\displaystyle \frac{\fbox{1}}{\fbox{4}}\)

一応公式で解くとどうなるかは見ておきましょう。

公式で表すと

 \( P_C(A)=\displaystyle \frac{P(A\cap C)}{P(C)}\)

です。

 \( A\cap C\) は大きいさいころが4で、かつ、和が9という事象です。

つまり、大:4 小:5 のときだけ。
これは一通りしかありません。

表の上の数字が大きいさいころの出目だとすると、
4の列を縦に見て合計が9になるのは横の小さいさいころが5のときだけ。

 \( P(A\cap C)=\displaystyle \frac{1}{36}\)
よって
 \( P_C(A)=\displaystyle \frac{P(A\cap C)}{P(C)}\\ \\
=\displaystyle \frac{\displaystyle \frac{1}{36}}{\displaystyle \frac{1}{9}}=\displaystyle \frac{1}{36}\div \displaystyle \frac{1}{9}=\displaystyle \frac{1}{36}\times \displaystyle \frac{9}{1}=\displaystyle \frac{\fbox{1}}{\fbox{4}}\)

キ:1 ク:4

 事象 A が起こったときの事象Cが起こる条件付き確率

これも表を書き出しているので公式は必要ありません

小\大123456
1
2
3
410
51011
6101112

 A が起こるだけなら、
和が何でも良いので小さいさいころの目の出方の(6通り)あって、
「そのうち」和が9になるのは小さいさいころが5の(1通り)なので、
(表で見ると4列目の六通りのうち、5行目が「和が9」)

 \( P_A(C)=\displaystyle \frac{\fbox{1}}{\fbox{6}}\)

公式で解いてみると

 \( P_A(C)=\displaystyle \frac{P(A\cap C)}{P(A)}\\ \\
=\displaystyle \frac{\displaystyle \frac{1}{36}}{\displaystyle \frac{1}{6}}=\displaystyle \frac{1}{36}\div \displaystyle \frac{1}{6}=\displaystyle \frac{1}{36}\times \displaystyle \frac{6}{1}=\displaystyle \frac{\fbox{1}}{\fbox{6}}\)

ケ:1 コ:6

条件付き確率はベン図で解いても公式は必要無い

条件付き確率はベン図で解くのも簡単で良いですよ。

交わり部分を条件のつく方で割れば求まります。

(3)

 \( P(A\cap B)\hspace{5pt} \fbox{サ} \hspace{5pt}P(A)P(B)\)
 \( P(A\cap C)\hspace{5pt} \fbox{シ} \hspace{5pt}P(A)P(C)\)

確率の大小関係を表せといっています。

これはそれぞれを求めて比較します。

この「メンドクサイ」と思われがちな計算は、
省いてはいけません

これは簡単に公式だけでは求まらない、
場合をすべて考えて、という問題の意図です。

この大切な「場合を調べる」作業は共通テストになっても変わらないでしょう。
確率、場合の数の基本ですからね。

小\大123456
1
2
3
410
51011
6101112

 

 \( A\cap B\) は大きいさいころの出目が4で、和が7という事象なので、
「大が4、小が3」の一通りだけです。

 \( P(A\cap B)=\displaystyle \frac{1}{36}\)

積事象として計算すると

 \( P(A\cap B)=\displaystyle \frac{1}{6}\times \displaystyle \frac{1}{6}=\displaystyle \frac{1}{36}\)

 \( P(A)\,,\,P(B)\) はそれぞれ求めてあるので、

 \( P(A)P(B)=\displaystyle \frac{1}{6}\times \displaystyle \frac{1}{6}=\displaystyle \frac{1}{36}\)

よって

 \( P(A\cap B)\hspace{5pt} \fbox{=} \hspace{5pt}P(A)P(B)\)

 \( A\cap C\) は大きいさいころの出目が4で、和が9という事象なので、
これも「大が4、小が5」の一通りだけです。

 \( P(A\cap C)=\displaystyle \frac{1}{36}\)

また

 \( P(A)P(C)=\displaystyle \frac{1}{6}\times \displaystyle \frac{1}{9}=\displaystyle \frac{1}{54}\)

よって
 
 \( P(A\cap C)\hspace{5pt} \fbox{>}\hspace{5pt}P(A)P(C)\)

サ:①  シ:②

(4)

大小2個のさいころを同時に投げる試行を2回繰り返す。
1回目に事象 \( A\cap B\) が起こり,
2回目に事象 \( \bar{A}\cap C\) が起こる確率は

1回目の \( A\cap B\) の確率は

 \( P(A\cap B)=\displaystyle \frac{1}{36}\)

でした。

2回目に \( \bar{A}\cap C\) が起こる確率は

「大きいさいころが4ではなく、和が9」

になる確率ですが、
大きいさいころが1のときと2のときは和が9にはなりません。

(大,小)=(3,6),(5,4),(6,3)

の三通りしかないので
 \( P(\bar{A}\cap C)=\displaystyle \frac{3}{36}=\displaystyle \frac{1}{12}\)

よって、1回目 \( A\cap B\) , 2回目 \( \bar{A}\cap C\) となる確率は
 \( \displaystyle \frac{1}{36}\times \displaystyle \frac{1}{12}=\displaystyle \frac{\fbox{1}}{\fbox{432}}\)

ス:1  セソタ:432

続いて

 三つの事象 A , B , C がいずれもちょうど1回ずつ起こる確率は

2回の試行で事象 A , B , C が1回ずつ起こるということは、
 \( A\,,\,\bar{A}\,,\,B\,,\,C\)
が1回ずつ起こるということです。

ただ、\( A\,,\,\bar{A}\) と \( B\,,\,C\) は同時には起こらないので、
(1回目)→(2回目)が

 \( A\cap B \rightarrow \bar{A}\cap C ・・・①\)

 \( A\cap C \rightarrow \bar{A}\cap B ・・・②\)

 \( \bar{A}\cap B \rightarrow A\cap C ・・・③\)

 \( \bar{A}\cap C \rightarrow A\cap B ・・・④\)

となる4つの場合があり、
求める確率は①~④の確率の和になります。

①と④は同じ確率で
 
 \( P(A\cap B)\cdot P(\bar{A}\cap C)=\displaystyle \frac{1}{36}\times \displaystyle \frac{1}{12}\)

 \( P(\bar{A}\cap C)\cdot P(A\cap B)=\displaystyle \frac{1}{12}\times \displaystyle \frac{1}{36}\)

②と③は同じ確率で、

 \( P(\bar{A}\cap B)\)

は「大きいさいころので目が4ではなく、和が7」という事象の確率なので、
 (大,小)=(1,6),(2,5),(3,4),(5,2),(6,1)
の五通りがあることを考えて

 \( P(\bar{A}\cap B)=\displaystyle \frac{5}{36}\)

このことから

 \( P(A\cap C)\cdot P(\bar{A}\cap B)=\displaystyle \frac{1}{36}\times \displaystyle \frac{5}{36}\)
 \( P(\bar{A}\cap B)\cdot P(A\cap C)=\displaystyle \frac{5}{36}\times \displaystyle \frac{1}{36}\)

以上のことから求める確率は
 
 \( \displaystyle \frac{1}{36}\times \displaystyle \frac{1}{12}\times 2+\displaystyle \frac{1}{36}\times \displaystyle \frac{5}{36}\times 2\\ \\
=\displaystyle \frac{1}{36}\times \displaystyle \frac{3}{36}\times 2+\displaystyle \frac{1}{36}\times \displaystyle \frac{5}{36}\times 2\\ \\
=\displaystyle \frac{6+10}{36\times 36}=\displaystyle \frac{16}{36\times 36}=\displaystyle \frac{\fbox{1}}{\fbox{81}}\)

チ:1  ツテ:81

この問題は場合の数ではないですが、
場合はすべて書き出す」というのは基本にしたいですね。

続いて数学ⅠA第4問です。

⇒ センター試験過去問2018年度の数学ⅠA第4問(整数)の解答と解説

別の問題の解説は

⇒ センター試験と共通テスト数学1Aの過去問解説

センター試験過去問解説まとめです。