2018年、平成30年度のセンター試験数学ⅠAの第4問の解答と解説です。
例年通り、第4問は選択問題の整数でした。
約数の個数や一次不定方程式が出ていますが基本的なことが主になっています。
ユークリッドの互除法は使わなくても答は出せますので選択問題でもあるので参考程度に見ておいてください。
先にお伝えしておきますが、整数に強くなりたければユークリッドの互除法は知っておいた方がいいです。
ここではユークリッドの互除法を知らない(とすれば)筆者がどうやって解いたかを記します。
問題は大学入試センターにもあります。
第4問(選択)整数
整数です。一次不定方程式です。
でも、ユークリッドの互除法は使いません。
(1)素因数分解
(1)
\( 144=2^{\fbox{4}}\times \fbox{3}\,^{\fbox{2}}\)
ア:4 イ:3 ウ:2
素因数分解された数が \( x^\color{red}{a}y^\color{red}{b}z^\color{red}{c}\) であるとき、
正の約数の個数は \( \color{red}{(a+1)(b+1)(c+1)}\) です。
それぞれの因数に対し
\( ( 1 , x , x^2 ,\cdots, x^a )\)
\( ( 1 , y , y^2 ,\cdots, y^b )\)
\( ( 1 , z , z^2 ,\cdots, z^c )\)
の中からそれぞれ1つを選ぶ方法は
\( (a+1)\) 通り
\( (b+1)\) 通り
\( (c+1)\) 通り
あって、3つをかけると約数になるので、
\( \color{red}{(a+1)\times (b+1)\times (c+1)}\)
となります。
因数の「1」は \( x,y,z\) を選ばないということですが、今はおいておきましょう。
よって144の正の約数の個数は
\( (4+1)(2+1)=\fbox{15}\)
エオ:15
(2)不定方程式
(2)
\( 144x-7y=1\) の整数解 \( x\,,\,y\) の中で,
\( x\) の絶対値が最小になるのは
普通ならユークリッドの互除法を使うのかもしれませんが、
ユークリッドの互除法を知らないので、w
\(x\) にあてはまる数を絶対値の小さいものから探します。
\( 144x-1=7y\)
としておき \(x\) に整数を入れていき、左辺が7の倍数になるかを見ます。
\( x=0\) のとき \( 1=7y\) となり不適。
\( x=1\) のとき \( 143=7y\) となり不適。
\( x=\fbox{2}\) のとき \( 287=7y\) となり \( y=\fbox{41}\) が適します。
カ:2 キク:41
絶対値が小さいものといえば \( x=-1\) もあるのですが、
空白 \(\fbox{カ}\) は正の数らしいので、飛ばしました。
このとき、
\( 144\cdot 2-7\cdot 41=1\)
が成り立ちます。
\( 144x-7y=1\)
と2つの等式を並べて、各辺を引きます。
\( 144\cdot x-7\cdot y=1\) ・・・①
\( 144\cdot 2-7\cdot 41=1\) ・・・②
②-①から
\( 144(x-2)-7(y-41)=0\\ \\
\Leftrightarrow \hspace{10pt} 144(x-2)=7(y-41)\)
ここで「144と7は互いに素」なので、
\( x-2\) は7の倍数
\( y-41\) は144の倍数
で無ければ等しくはなりません。
\( x-2=7k \hspace{5pt}\Leftrightarrow \hspace{5pt}x=\fbox{7}k+2\)
\( y-41=144k \hspace{5pt}\Leftrightarrow \hspace{5pt}y=\fbox{144}k+41\)
ケ:7 コサシ:144
(3)約数の個数
(3)
正の約数の個数が18個である最小のものは \(144\times \fbox{ス}\) であり,
正の約数の個数が30個である最小のものは \(144\times \fbox{セソ}\) である。
「144の倍数で,7で割ったら余りが1となるような自然数」
というのは \(144x-7y=1\) の \( \color{red}{144x}\) の部分です。
\( 144x=7y+1\)
確認しておくと、144は素因数分解してあり、
\( 144=2^4\times 3^2\) で約数は15個、
なので約数が18個の数は144よりは大きい数です。
\( 144x-7y=1\) を満たす \( x\,,\,y\) は
\( x=7k+2\)
\( y=144k+41\)
なので
\( k=0\) のとき \( x=2\)
このとき \( 144x=144\times \fbox{2}=2^5\times 3^2\) で約数18個の最小となります。
また、問題の続きは「約数30個」から探すこともできますが、順に調べてもしれています。
\( k=1\) のとき \( x=9\)
このとき \( 144x=144\times 9=2^4\times 3^4\) で約数は25個でダメ。
\( k=2\) のとき \( x=16\)
このとき \( 144x=144\times 16=2^8\times 3^2\) で約数は27個でダメ。
\( k=3\) のとき \( x=23\)
このとき \( 144x=144\times \fbox{23}=2^4\times 3^2\times 23^1\) で約数は30個でこれが最小です。
ス:2 セソ:23
ユークリッドの互除法は勉強しておいた方が良いかもしれません。
しかし、ここでやったくらいのテストは試験中にしても良いのではないですか?
続いて第5問(幾何)です。
⇒ センター試験過去問2018年度の数学ⅠA第5問(幾何)の解答と解説
あと1問です。
選択は2つなので関係ない人もいると思いますが、いざってときのためにもすべて目を通しておくと良いですよ。