2019年(平成31年)度に行われたセンター試験数学2B第3問の解説です。
第3問は数列の一般項を求める問題ですが漸化式からの一般項が機械的には求まりません。
ただし、誘導通りに進めればいいように問題が指示してくれていますので条件を見逃さないことがポイントです。

正答はセンターが発表していますので確認してください。

この問題は数学ⅡBの部分のみの問題です。

⇒ 2019年センター試験数学2B問題

第\(\,3\,\)問は選択問題の数列です。

条件は整理しておかないと後々使います。

後半で時間が必要なのでここは1つひとつささっと処理しておきましょう。

(1)(2)
 初項が\(\,3\,\)、公比が\(\,4\,\)の等比数列
 初項から第\(\,n\,\)までの和を\(\,S_n\,\)

この等比数列は

 \(\,3 , 3\cdot 4 , 3\cdot 4^2 , \cdots , 3\cdot 4^{n-1}\,\)

と並んでいます。
こういった具体的な数列は書き出してながめておくとわかり易くなります。

問題では数列\(\,\{T_n\}\,\)についても説明が続きますが先に\(\,S_n\,\)を処理しておきます。

 \(\,S_2=3+3\cdot4=\color{black}{\fbox{\(\,\color{red}{ 15 }\,\)}}\,\)

\(\,S_n\,\)は等比数列の初項から第\(\,n\,\)項までの和で

 \(\begin{eqnarray}\displaystyle
S_n&=&\frac{3(4^n-1)}{4-1}\\
&=&\color{black}{\fbox{\(\,\color{red}{ 4 }\,\)}}^\color{black}{\fbox{\(\,\color{red}{n}\,\)}}-\color{black}{\fbox{\(\,\color{red}{ 1 }\,\)}}
\end{eqnarray}\)

問題は空白だらけで見にくいので一つひとつうめていくと良いですね。
出てきた数字はしっかり書き込むことも忘れずにしましょう。

次の数列\(\,\{T_n\}\,\)についての条件を見ます。

 数列\(\,\{T_n\}\,\)は、初項\(\,-1\,\)、階差数列が\(\,\{S_n\}\,\)

数列\(\,\{\,T_n\,\}\,\)は書き出すと
 
 \(\,-1 , -1+S_1 , -1+S_1+S_2 , \cdots\,\)

具体的に書き出すと

 \(\,-1 , -1+3 , -1+3+15 , \cdots\,\)

となるので、\(\,T_n=\color{black}{\fbox{\(\,\color{red}{ 2 }\,\)}}\,\)

この\(T_2\)は次の一般項を出してからでも良いです。

一般項は階差数列を利用して

 \(\begin{eqnarray}\displaystyle
T_n&=&-1+\sum^{n-1}_{k=1}(4^n-1)\\
&=&-1+\underline{\sum^{n-1}_{k=1}4^n}-(n-1)\\
&=&-1+\underline{\sum^{n-1}_{k=1}4\cdot 4^{n-1}}-(n-1)\\
&=&-1+\frac{4(4^{n-1}-1)}{4-1}-n+1\\
&=&\frac{4}{3}\cdot 4^{n-1}-\frac{4}{3}-n\\
&=&\frac{\color{black}{\fbox{\(\color{red}{ 4 }\)}}^{\color{black}{\fbox{\(\color{red}{n}\)}}}}{\color{black}{\fbox{\(\color{red}{ 3 }\)}}}-n-\frac{\color{black}{\fbox{\(\color{red}{ 4 }\)}}}{\color{black}{\fbox{\(\color{red}{ 3 }\)}}}
\end{eqnarray}\)

ここまでもあんまり考えることなく機械的。

これらの数列\(\,S_n , T_n\,\)は後まで使うのでもう一度書き出しておきます。

 \(\,S_n=4^n-1\,\)

 \(\displaystyle T_n=\frac{\,4^n}{3}-n-\frac{4}{3}\,\)

(3)
数列\(\,\{a_n\}\,\)は初項が\(\,-3\,\)、漸化式

 \(na_{n+1}=4(n+1)a_n+8T_n (n=1,2,3,\cdot) ・・・①\)

を満たす。

最終的にはこの漸化式を解いて数列\(\,\{a_n\}\,\)の一般項を求めるのですが、
①の漸化式を解くのはかなり慣れていないと簡単ではありません。

この問題では『一般項を求めよう。』と誘導してくれています。
求めよ。』ではないので助かります。笑

そこで\(\,\displaystyle b_n=\frac{a_n+2T_n}{n}\,\)とおくと、
\(\,\{b_n\}\,\)の初項\(\,b_1\,\)は

 \(\begin{eqnarray}
b_1&=&\frac{a_1+2\cdot T_1}{1}\\
&=&-3+2\times (-1)\\
&=&\color{black}{\fbox{\(\color{red}{ -5 }\)}}
\end{eqnarray}\)

『\(\,\{T_n\}\,\)は漸化式』という部分は
 
 \(\,\{T_{n+1}\}\,\)と\(\,\{T_n\}\,\)の関係式

を表しているので、\(\,\{T_{n+1}\}\,,\,\{T_n\}\,\)をそれぞれ書き出し関係式を作ると

 \(\displaystyle T_n=\underline{\,\color{blue}{\frac{\,4^n}{3}-n-\frac{4}{3}}\,}\,\)

 \(\begin{eqnarray}\displaystyle
T_{n+1}&=&\frac{\,4^{n+1}}{3}-(n+1)-\frac{4}{3}\\
&=&4\cdot\frac{\,4^n}{3}-n-\frac{7}{3}\\
&=&4\left(\underline{\,\color{blue}{\frac{\,4^n}{3}-n-\frac{4}{3}}\,}\right)+3n+3\\
&=&\color{black}{\fbox{\(\color{red}{ 4 }\)}}T_n+\color{black}{\fbox{\(\color{red}{ 3 }\)}}n+\color{black}{\fbox{\(\color{red}{ 3 }\)}}
\end{eqnarray}\)

この変形は
 \(\,T_{n+1}=aT_n+b\,\)
に\(\,\{T_{n+1}\}\,,\,\{T_n\}\,\)を代入して係数比較して、
 \(\,a=4 , b=3n+3\,\)
と求めてもいいです。

ここらあたりから何が何だか分からなくなる人が多いですね。

 『\(\,T_{n+1}=4T_n+3n+3\,\)を満たすから\(\,\{b_n\}\,\)は

に続いているので、

 \(\,\color{blue}{T_{n+1}=4T_n+3n+3}\,\)

を使うということです。

 \(\displaystyle \color{magenta}{b_n}=\color{magenta}{\frac{a_n+2T_n}{n}}\,\)

と置いているので

 \(\displaystyle \color{red}{a_{n+1}}=\color{red}{\frac{4(n+1)}{n}a_n+\frac{8T_n}{n}}\,\)

と変形できることと合わせて

 \(\begin{eqnarray}\displaystyle
b_{n+1}&=&\frac{\color{red}{a_{n+1}}+2\color{blue}{T_{n+1}}}{n+1}\\
&=&\frac{\color{red}{\frac{4(n+1)}{n}a_n+\frac{8T_n}{n}}+2(\color{blue}{4T_n+3n+3})}{n+1}\\
&=&\frac{\frac{4(n+1)}{n}a_n+\frac{8T_n}{n}+8T_n+6n+6}{n+1}\\
&=&\frac{\frac{4(n+1)}{n}a_n+\frac{8(n+1)T_n}{n}++6(n+1)}{n+1}\\
&=&\frac{4}{n}a_n+\frac{8}{n}T_n+6\\
&=&4\left(\color{magenta}{\frac{a_n+2T_n}{n}}\right)+6\\
&=&\color{black}{\fbox{\(\color{red}{ 4 }\)}}b_n+\color{black}{\fbox{\(\color{red}{ 6 }\)}}
\end{eqnarray}\)

この係数は、
 \(\,b_{n+1}=\color{red}{c}b_n+\color{blue}{d}\,\)
とおいて、
 \(\,\displaystyle b_n=\frac{a_n+2T_n}{n}\,\)
 \(\,\displaystyle b_{n+1}=\frac{a_{n+1}+2T_{n+1}}{n+1}\,\)

から
 \(\displaystyle \frac{a_{n+1}+2T_{n+1}}{n+1}=\color{red}{c}\frac{a_n+2T_n}{n}+\color{blue}{d}\,\)

両辺に\(\,n(n+1)\,\)をかけて

 \(na_{n+1}+2nT_{n+1}=\color{red}{c}(n+1)(a_n+2T_n)+\color{blue}{d}n(n+1)\)

これに
 \(\,T_{n+1}=4T_n+3n+3\,\)
を代入して、(3)の最初にある\(\,\{a_n\}\,\)の漸化式

 \(\,na_{n+1}=4(n+1)a_n+8T_n\,\)

と係数比較しても出てきます。

漸化式
 \(\,b_{n+1}=4b_n+6\,\)
は単なる\(\,2\,\)項間漸化式です。

 \(\begin{eqnarray}
b_{n+1}&=&4b_n+6\\
b_{n+1}+2&=&4(b_n+2)
\end{eqnarray}\)

と変形することによって

数列\(\,\{b_n+2\}\,\)は
 初項 \(\,b_1+2=-5+2=-3\,\)
 公比 \(\,4\,\) の等比数列
なので

 \(\begin{eqnarray}
b_n+2&=&(-3)\cdot 4^{n-1}\\
b_n&=&\color{black}{\fbox{\(\color{red}{ -3 }\)}}\cdot \color{black}{\fbox{\( 4 \)}}^{\color{black}{\fbox{\(\color{red}{n-1}\)}}}-\color{black}{\fbox{\(\color{red}{ 2 }\)}}
\end{eqnarray}\)

いよいよ\(\,a_n\,\)の一般項が出ます。

 \(\,\displaystyle b_n=\frac{a_n+2T_n}{n}\,\)

と置いていたので

 \(\begin{eqnarray}\displaystyle
b_n&=&\frac{a_n+2T_n}{n}\\
nb_n&=&a_n+2T_n\\
a_n&=&n\color{red}{b_n}-2\color{blue}{T_n}
\end{eqnarray}\)

これに
 
 \(\displaystyle \color{blue}{T_n}=\color{blue}{\frac{\,4^n}{3}-n-\frac{4}{3}}\,\)

 \(\displaystyle \color{red}{b_n}=\color{red}{-3\cdot 4^{n-1}-2}\,\)

を代入して、

 \(\begin{eqnarray}\displaystyle
a_n&=&n\color{red}{b_n}-2\color{blue}{T_n}\\
&=&n(\color{red}{-3\cdot 4^{n-1}-2})-2\left(\color{blue}{\frac{\,4^n}{3}-n-\frac{4}{3}}\right)\\
&=&\frac{3n(-3\cdot 4^{n-1}-2)-2(4^n-3n-4)}{3}\\
&=&\frac{-9n\cdot 4^{n-1}-6n-2\cdot 4^n+6n+8}{3}\\
&=&\frac{-9n\cdot 4^{n-1}-2\cdot 4^n+8}{3}\\
&=&\frac{-9n\cdot 4^{n-1}-8\cdot 4^{n-1}+8}{3}\\
&=&\frac{\color{black}{\fbox{\(\color{red}{ - }\)}}(\color{black}{\fbox{\(\color{red}{ 9 }\)}}n+\color{black}{\fbox{\(\color{red}{ 8 }\)}})\cdot \color{black}{\fbox{\(\color{black}{ 4 }\)}}^{\color{black}{\fbox{\(\color{black}{n-1}\)}}}+\color{black}{\fbox{\(\color{red}{ 8 }\)}}}{\color{black}{\fbox{\(\color{red}{ 3 }\)}}}
\end{eqnarray}\)

終わりです。

誘導がない本試験レベルの漸化式だとすると次のように解けます。
ここまでですでに入力に疲れましたので最後は自分で処理してください。笑

 \(\,na_{n+1}=4(n+1)a_n+8T_n\,\)

を見たとき両辺を\(\,n(n+1)\,\)で割って

 \(\begin{eqnarray}\displaystyle
\frac{a_{n+1}}{n+1}&=&4\cdot \frac{a_n}{n}+\frac{8T_n}{n(n+1)}\\
&=&4\cdot \frac{a_n}{n}+\left(\frac{8}{n}-\frac{8}{n+1}\right)T_n
\end{eqnarray}\)

添え字が添うように移項して

 \(\begin{eqnarray}\displaystyle
\frac{a_{n+1}}{n+1}+\frac{8T_n}{n+1}&=&4\cdot \frac{a_n}{n}+\frac{8T_n}{n}\\
\frac{a_{n+1}+\color{red}{8T_n}}{n+1}&=&4\left(\frac{a_n+2T_n}{n}\right)\\
\end{eqnarray}\)

ここで、

 \(\,T_{n+1}=4T_n+3n+3\,\)

を出しておけば、

 \(\,\color{red}{8T_n}=\color{red}{2T_{n+1}-6n-6}\,\)

から

  \(\begin{eqnarray}\displaystyle
\frac{a_{n+1}+\color{red}{8T_n}}{n+1}&=&4\left(\frac{a_n+2T_n}{n}\right)\\
\frac{a_{n+1}+\color{red}{2T_{n+1}-6n-6}}{n+1}&=&4\left(\frac{a_n+2T_n}{n}\right)\\
\frac{a_{n+1}+2T_{n+1}-6(n+1)}{n+1}&=&4\left(\frac{a_n+2T_n}{n}\right)\\
\frac{a_{n+1}+2T_{n+1}}{n+1}-6&=&4\left(\frac{a_n+2T_n}{n}\right)\\
\frac{a_{n+1}+2T_{n+1}}{n+1}&=&4\left(\frac{a_n+2T_n}{n}\right)+6
\end{eqnarray}\)

ここで

 \(\displaystyle b_n=\frac{a_n+2T_n}{n}\)

と置くと、(3)の誘導に乗ることなく\(\,b_n\,\)の一般項が求まり、次いで\(\,a_n\,\)の一般項が求まります。

⇒ 漸化式の解き方パターン一覧と一般項の求め方まとめ(階差数列、分数、累乗など)

ここにほとんどすべての漸化式パターンはあります。

しかし、センター試験や共通テストでは誘導してくれるので、自分で解こうとしない方がはやいです。w
というより、途中が埋められない可能性がでてきます。

⇒ センター試験数学2B2019年度選択問題第4問(ベクトル)の解説

第\(\,4\,\)問はベクトルです。
空間ベクトルですが同じ条件を何度も使いますので、普段から条件を使えるように処理する練習をしておくと良いですね。

⇒ センター試験と共通テスト数学2Bの過去問解説

数列の漸化式も出尽くした感じはありますが、共通テストになっても使うことは変わらないですよ。